2本目の「ギブソン」を購入してしまった。 1993年製の中古レスポールなのだが、今手持ちのは黒であ り今回手に入れた一本はスタンダードなサンバーストだ。 |
「やられた」アンプにプラグを通して試しに音を出した瞬間に
「欲しい」と思ってしまった。
今持ってるギブソンとはピックアップが違うそうで「噛み付く」
ようなアタック音に僕の心は鷲掴みされた。
練習用のつもりで手頃な価格のギターで差し当たりヤマハのSG
くらいでもと入店したのだが・・・
まぁギブソンは出会いですから。
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ちょうど一年振りに、このギター屋に寄った。
キャナルシティーという商業施設に近い住吉神社の横にある
築40年近いオンボロビルの階段を登った2階にある「ファインギ
ター」さんだ。そういえば前回はお隣の中古マック屋でマックを
買う予算がギブソンに変わったのであった。
店主は46歳。2年前にギター好きが高じてショップを脱サラで
オープンしたそうだが、ちょうど一年前に立ち寄った時は営業的
に厳しかったようで、即決で買う僕の要請に、泣く泣く安値で僕
に販売したそうで、それが今でも心残りだと話してくれた。
「リベンジしたいとこですが今回も勉強します」
なかなか商売上手になっている。
まぁ一年経過して店内は、より倉庫の様相を呈し雑然としてい
る。なにせギターが250本にアンプやらケーブルが転がってい
る。しかし一本平均4万円でも在庫1000万だ。中には70万
のヴィンテージギブソンも置いてある。
話は中々興味深い部分に立ち入った。
「ネットに救われましたね」店主はインスタントコーヒーにスト
ーブで沸かしたお湯を注いで僕に手渡してくれた。
僕はペコリと頭を下げると、紙コップに注がれた濃い目の珈琲を口に運んだ。
「ネットですか・・・へぇ。ちなみに売上げの比率は?」
「今では店舗4割ネット6割ですよ。ネットがなかったらアウト
でした。ほんと。去年は厳しかったっす」
「やっぱりギブソンですか売れ筋は?」
「そう。ギブソンとフェンダーかなメインは。日本海側の地区の
方にはあんまりショップがないんでしょうか?そっちの方からの
注文が多いんですよ。まぁ食べるだけで精一杯ですけどね」
僕は関心した。
「大手の楽器屋ばかりで、うちみたいな怪しいマニアな店が少な
くなっちゃったでしょ。ここ最近で一気にね」
「そうですよね。確かに怪しい」失礼な僕の相槌ではあるが確か
に怪しいので仕方がない。
「でも大手の楽器屋は電気製品でも売るようにギターを売ってる
でしょ。そうじゃないと思うんですよね俺は」
なるほど彼が言うのはもっともだ。僕も結局この店で2本も買っ
ている。
「メンテナンスでは食えないですからね。やっぱり販売しないと
ね。販売はパワーがありますよ販売は」そういって彼はある鉄の
箱を取り出した。
「岡崎さん。これ『松本ドライブ』って言うんですが、自作のデ
ィストーションなんです」
アルミ剥き出しの素っ気無い箱にツマミが4個ついてて、切り替
えのためのプッシュスイッチが2個とその切り替えを知らせる豆
電球がついてて油性マジックで「3」と書いてある。
「へぇ自作ですか?」
「はい。電気に詳しい奴が友達にいましてね松本って言うんです
が、これはバージョン「3」なんです。ネットで数十台売れてま
して」聞けば横浜で少しブレイクしているそうで少し自慢げに彼
は話を続ける。
「来週、バージョン4が出来上がってきます、なかなかいいです
よ。贅沢なコンデンサーをバリッと使ってますからね。これがブ
ースターで踏めば、さらにガリッとオーバードライブします」
なるほど油性マジックで書かれた「3」はバージョン名なのか
さっそく試してみる。
「ほう!」面白い。ヘビメタな音ではなく、なんだろうウォーム
かつソリッドで真空管の味わいが残っている。アメリカ製のハウ
スメイドで5万円くらいする機械があるがそれに近い。
地方発でオリジナルでニッチな製品とはなかなか面白い!
マニアをネットで狙い撃ちできる可能性が高い。
「松本ドライブ」に期待しよう!
ネットの販売力は、地方の楽器屋も確実に巻き込んでいるわけ
だ。彼らの生活を支えているとも言える。
可能性は拡大している。