850-スムースの代償

 世界遺産に登録されているゴールの堅牢な城砦の真ん中に位置する

スリランカ最古のホテルだった「ニュー・オリエンタル・ホテル」
を引き取り、コロニアル建築のオリジナルを活かしながらも、完全に
アマンクオリティーのリノベーションに成功しているアマンガラ。
 
 

 

 あるテレビの旅行番組で紹介されていたのをきっかけに、
どうしても泊まってみたくなってマレーシア経由でスリランカの首都
コロンボに飛んだ。
 
 そのクラシカルなアマンリゾートで体験したのは、
 
 食事をしても、ツアーにでかけても、ルームサービスをお願いしても、
スパを受けても沈み行く雄大な夕陽を見ながらシャンパンを頼んでも、
価格の提示も確認も確認のサインも、そういう一切のプロセスがないのだ。
もうスッパリと切り落とされている。
 
 最初は気がつかなかったんだけど、バトラーからどこか行きたい
とこはあるか?と質問され、街歩きと答えるとすぐに専用バンが手配され、
アマン特製のサンドイッチバスケットが作られる。
 
 まさか無料?そんなわけないよね。
 いったいいくらなんだろう。
 アマンに泊まる人にとっては、当然のことのようで、
 初心者の僕には聞ける雰囲気でもないわけで。
 
 一抹の不安を抱えつつも、まさに王様気分とまでいかなくても、
どこかの大臣クラスの接待を受け続けることに。
しかしそれにしてもスムースである!
 
 しかし後々の支払いのことが頭の片隅にある。
 
 その心配どおり、チェックアウトの時の請求書のリストと金額に思わず
「おっ」と声がでてしまった。予想より高い。
 
 もちろん払わないわけにいかない。
 そんな気もない。
 素晴らしいサービスの連続だったのだからね。
 
 ただ万にひとつクレームとかないのかなぁ。
 確認されてないわけで、無料とかそうでなくても価格が価格だけに
 オールインクルードだと思っていたという客はいるだろう。
 
 まぁ考えてみれば金額でもめるようなお客さんは来なくていいよ。
 という事なんでしょうね。
 
 でも究極にお客様を信用するというのはこういうことなんだよね。
 いらないプロセスを省くために、普通と思えるプロセスさえ無垢な
目で点検すること
 世界一のサービスを目指しているからこそのルールなんでしょう。
 
 そして生み出されるのは「スムース」という価値!
 
 それで思い出した。
 その昔、行きつけのフレンチレストランでのこと。
 オーナーシェフ自ら「何を食べたいか?」と聞かれ、
 
 そうですねオマールのサラダにメインは子羊かなぁなんて、やりとりで
メニューが決まったはいいけれど、価格の話はなかった。
 
 勝手に、ひとり1万5千円くらいかなぁと予想してたけど、
 支払いの時その倍額だったのでボッタくられた?と驚いた。
 それで、その話を別の店のオーナーに話すと、
 それは岡崎さんがリッチな人と認識されてるんですよ、
 彼に悪る気はありませんと教えてもらった。
 
 ながらくこの事件のことを忘れていたが、アマンの件と重ねて
考えてみて、ようやく理解できた気がした。
 
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  2012年12月07日   岡崎 太郎