001-通販に想うこと。

通信販売が普通になったと思う。

 
だいたい通販なんて100年近く怪しい商売と思われていたはずなのに。
普通になって、通販という言葉が社会から消えたとは言わないが、影が薄くなった。
消費者も企業側も「通販」という言葉や意識が消えかかっていないか。
 

 

 
ちなみに「E-コマース」という言葉も死語だ。
提供者である企業側と受け手であるお客様の双方が普通に使う言葉は「ネット」という広義の単語だろう。
 
消費者の会話の中で「ネット通販」なんて単語は存在していない。
「WEBマーケティング」「ダイレクトマーケティング」なんて言葉もない。
みんなまるめて「ネットで買った」とかくらいだろう。
 
だから僕が自分で通販セミナーとか通販コンサルとか自称してるのは時代にあわないなぁと思う。
 
広くマーケティングと定義した方がいいのかなぁ。
まぁ結局「ダイレクトマーケティング」なんだろうね。
 
だいたい通販とダイレクトマーケティングって意味が対応してないからね。
 
この100年の長きにわたり先輩達が開発してきた通販の技術や考え方(商品開発スキームに分析方法、また様々なマーケティング手法)は多くのネットに応用できるし、多くのリアルビジネスに応用できる。
 
データベースマーケティングの一部でも相当にインパクトがあると思う。
多くのリアル企業は顧客名簿の活用さえ上手にできていない。もう20年前から言われてることなのにね。
 
そんな話はいいとして、通販がこれほど社会で一般化した背景はなんだろう?
 
大手企業が続々参入したからなのか。
インターネットが裾野を広げたからかなのだろうか。
それともヤマト運輸や佐川急便が流通を便利にしたからだろうか。
 
消費者の意識はどう変わったのだろう。
 
最近ネットで検索し、はじめての店で商品を買う時、通販をしているという意識はあるだろうか?
 
はっきり言って無いと思う。
きっとネット通販という意識さえないのではないか。
 
あるとすれば「お取り寄せ」という意識くらいではないか。
最近は、歩ける距離をタクシーに乗るように、近くで買えるのにネットを利用する。
 
アマゾンや楽天の課金システムは楽だし、送料も無料なうえ、翌日には届くわけで楽ちんだからね。
 
ともかく物理的に展示面積に限りある店舗は、ネットにくらべ品揃えだけを比べても勝てる見込みがない。
 
先日、パスファインダーという旅行バックを買おうと都内5カ所の店舗をまわったが、僕の欲しい品番どころか、展示があるはずの取扱店にさえ、パスファインダー製品がひとつもなかった。
 
僕の新刊にしても発売から数ヶ月もすれば書店の棚から消える。
人気のパソコンやカメラといった電化製品もしかりだ。
 
ともかく店舗に足を運び、商品がなければ消費者にとって無駄足である。
無駄な経験が増えると、店舗イコール無駄という方程式が脳に刷り込まれる。
 
ますます消費者はネットに向かう。
通販という意識はそこには無い。
 
大袈裟だろうか。
 
最近銀座のフレンチレストランを「オープンテーブル」というネットシステムで予約したのだが、大変便利だった。忙しい最中の電話は対応する店側も客側もストレスだから、カンタンで楽になったなぁと関心した。(なにせ食べログと連動している)
ただ予約の取れない人気店であれば、昔からの上客を失う危険もあるかも知れない。
 
このように、昔のやり方はネットに置き換わる。
便利になると不便な昔には戻らない。
 
でも通販マインドは脈々と生き残るだろう。
メディアやシステムが変わってもね。
 
通販って様々なマーケティング手法の集合体だから。
勉強すればするほどオモシロイ。
  2001年11月15日   岡崎 太郎