折込チラシを作るにあたって
印刷する前には、当然原稿を作るわけですが、
どういうところに注意したらいいのか、考えて見ましょう。
まず基本構成です。
これは、大きく分けると、文字と図の2つです。
図は、写真とイラストに分けても構いません。
すると文字と写真とイラスト。
基本構成要素はこの3つです。
次に、文字をどう分けるかという話ですが
一番大きい大見出し、中位の中見出し、次は小見出し次は本文。
それから、写真の下なんかに付いているキャプションと呼ばれる
小さい文字と5つぐらいに分類されます。
写真に関しては、商品をしっかり伝える商品全体の写真や機能を
説明する部位の写真とカッコいいイメージ写真。
この3つ。細かく分けると限がないので・・・
ちょっと一個づつ見て行こうと思うんですけど・・・
どれから行きましょうか・・・・
分かり易い所で文字から行きましょう
まずはこの新聞です。
「拉致の5人、家族と再会」西日本新聞
なぜ新聞を持って来たかと言いうと
折込チラシのデザインってやっぱり1つの結論として
「やっぱり新聞が元じゃないか。」と新聞の模倣したデザインが
いいなと。
最近は新聞もカラーになって、文字のバランスがとても気持ち
いいなぁと思ってまして、新聞を題材に持って来ました。
まずデザインを考える上で「ジャンプ率」というのがあります。
ご説明します。
ここ「朝鮮民主主義人民共和国」って書いてあるこの文字ありま
すよね、これがボディの本文です。
一番基準になる普通のサイズですね。
このサイズを測ります。
そうしますと、一番上のタイトルの
「拉致の5人家族と再会」ってありますよね。
ここ半年ぐらいで一番大きい文字です。
ところで日経新聞はここまで大きい文字は使いません。
西日本新聞なのでここまで大きい文字を使ってると思うんですが
・・・。
このジャンプ率を元々の本文から計算すると
縦19.2倍 横8.2倍 の大きさになってます。
これ頭に入れといてください。
なぜ縦横で倍率が違うかというと、見た目とおり「拉致」の文字
が縦長になっているんです。これも新聞では、珍しい事なと思っ
てるんですが。
広告を作る時を考えても同じプロセスです。
一番多く使う標準の文字を基準値にして、その文字を正方形で囲
んで、縦と横のmmを出して、その基準文字に比べて、一番大きな
タイトルに使う文字を縦横何倍にするかという風に、設計してい
きます。
その際、基準文字に対して19倍よりデカイという事になると、
「おいおい」そこまで大きい必要があるのか?
という事がいえるわけです。(新聞では最大19倍以上は使用しな
いからです)
たとえばこのチラシなんですが・・・
どうですか?
デカイですよねぇ「大特価◎◎◎」
タイトルを大きくして目立たせたいという気持ちは、わかるんだ
けど・・・・・
どこまで大きくしていいのか 判らないんですね。
いいサンプルだなと思って持って来たんですが。
あなたが、チラシを作る際、「ところで自分が作った物が適正
なんだろうか?」
「もっと大きくしちゃいけないのかな?」なんて考えますよね。
ですからひとつの基準として覚えていただければOKです。
印刷物、それもB4のチラシで考えると、伝えたい情報に対して、
紙の面積が圧倒的に足らないですよね、なのにタイトルをあまり
にも大きくすると、いよいよ紙面が足らなくなっちゃいます。
だからバランスを考えないといけないわけですよね。
次に中見出し
この文字が大きいんですけど・・・・・、
これは大体縦横8倍ぐらいなんですね。
この横にあるのが6.x倍。
西日本新聞さんが作る時には、このあたりでガイドラインが決ま
ってるんですね。これぐらいの幅で中見出しは作ってねというル
ールが決まっている訳。
当然文字数で調整するにしても、本文に対して縦横4倍から5倍
ぐらいだな。
さらに倍は、8倍ですよね。
つまり西日本新聞の場合、4倍、8倍っていうの感じが基準になっ
ているようです。
今度逆に、日経新聞です。
同じですね、この文字が標準ですから、この文字に対して
「家族の再会うれしい」が縦6.4倍の横4.3倍さっきの西日本新聞
もそんなモンでしたよね。
約4から5倍。それの倍が約9倍。
というセットで使って行くと「ほら紙面が気持ちいいでしょ。」
これが文字で言うジャンプ率です。
基準文字に対しての、拡大率のルールと言った方が分かりやすい
ですか?
では文字の種類の話をします。
ヘタなチラシを見ると、いろんな種類の文字を使ってるから、
なんかグチャグチャしてる印象を感じますよね。
例えば、
このチラシなんて何種類使ってあるか分かんないですよね、
10種類以上使ってるかな?
では新聞は何種類で構成されているか?というと、
基本11書体で日経新聞は組まれています。
11書体といっても、実際は家族構成になっていて、
明朝とゴシックと丸ゴと呼ばれるゴシックの角が少し丸くなった
物の3種類が基本です。
新聞をよく見てもらえば分かるんですけど、綺麗なタテヨコが
正方形な文字が組まれてません。
若干つぶれ気味(ヘイタイ)の文字を使っています。
文字をたくさん入れてもなお、縦書きで読みやすい配置に収まる
からなんて理由からなのでしょう。
本文に関しては、若干つぶれ気味の文字を使っています。
1種類です。
モトヤ明朝2~5は
小見出し用、中見出し用、大見出し用に使うために調節された
見出し専用文字です。
見本を持って来たんですが、どこが基準文字と違うのか?
太さが違うんですね。
だんだん太くなってますよね、
解かります?
多分モトヤ明朝2をそのまま拡大して使うと、文字の太さが細い
んです。あまり太くならないんですね。だから見だしとしての
パンチが無くなってしまう。
例えば、ここに4.8倍って僕が書いてますが、あれっ??
って思いません?
もっと大きい感じしませんか?
感覚的には6倍以上に感じません?
こういう風にデザインは同じで文字の太さが違う書体をさらに
4.8倍にして使うとパンチが出るという事を頭に入れておいてく
ださいね。
ちょっと文字の話になったので、文字のコダワリについて少し。
ちょっと見てください。
今、写研の「石井明朝」というのを見て貰ってます。
元々今のコンピューター文字というのは写植から派生してます。
写植ってもう知らない若い人もいますよね?
昔、こうガッチャン ガッチャンやってた・・・、
聞いた事無い?
とにかく写植っていうです。
今もあるんですが写研っていう会社がありまして、そこの石井さ
んという社長が一番最初につくった書体が「石井明朝」と呼ばれ
る物で、この明朝がデザインが綺麗・美しいんです。
(写植をはじめて開発した会社です。)
よくよく見ていただければ分かると思うんですが、コンピュータ
で使われる文字、同じ平仮名でも、随分違うんですよ。
バランスのとれた美しい文字もあれば粗悪な物もあるんですね。
ちょっと解かりにくい話しですよね。説明します。
今ここに「夢のあるユニークで豊かな書体」ってありますよね。
「か」と「な」を比べてもらいたいんですけど。
ちっちゃいでしょ?
「か」ちっちゃいですよね。「な」の方がおおきいでしょ。
ユニークの「ニ」、「ク」と比べて、ちっちゃいですよね。
どうですか?
これ、パソコンでワープロ使われてる方だったら分かるとおもい
ますが、同じサイズですからね。
同じサイズで「夢のあるユニークで豊かな書体」って書いてるの
に比べると、これだけ違うんですよ。
分かります?
実はあたりまえなんですが、文字って同じ正方形の大きさの中で
組んであるんじゃないんです。
「ユニーク」の「ニ」はちっちゃくて、「ク」は大きめにという
組み合わせをバランス良くデザインして作ってるんです。
分かります?
ちょっと説明します
コンピュータが導入される前は、写植屋さんが一生懸命に自分で
打ってました。
紙に焼いてました、その時に・・・・・・
英語がわかりやすいんですが、「I」と「W」はどうですか?
横幅違いますよね?
でも、誘拐犯が脅迫文をほら、新聞や雑誌の文字を切り取って
こんな風に貼って作るでしょ?!するとバランス悪いですよね。
つまりIとWではどうですか?
隙間なんです。文字と文字の隙間が違うんです。
おんなじ隙間だと、空き過ぎるでしょ?
これを微妙に調整してるのが字詰めです。
日本語というのはすごい面倒クサイ言語でして漢字・ひらがな・
カタカナ・英語・アルファベットの5種類を組み合わせてこの中
でバランス良く表現してるんですよ。
あんまし無いですよ、世界的に見ても。
漢字は結構四角い中に綺麗に収まるんですよ、
でも数字ってちょっと斜めにした方がカッコいいでしょ。
元々ルールが違うんですよ、数字と漢字と英語の元々の並べる
ルールが。
それを、同じ土俵の上にデザインしようとすると、とても気持ち
が悪いんですよ。
それが証拠に本文の中に規則正しく入れてる時は気にならない事
が、大きくキャッチコピーに組もうとしたり、商品名の中に使お
うとしたりする時にそういう物が混じっているととても気持ち悪
い。
デザインやってれば感覚的に気になってる方もいらっしゃると思
いますが・・・・・・
「ひらがな」だけでも同じなんです。
小さく書いた方が実際に文章としてやった時に綺麗になる
書道を見れば分かると思うんですけど・・・
そういう字詰めをそれぞれの書体がデザインしてるんです、
これはセンスです。
なので、漢字の明朝はこれ・平かなはこの文字・数字はこれで、
アルファベットはこれを使ってくれ。
そういう事を昔はやってたんですよ。
だけど今は全部コンピュータで全部出来る様になっちゃったんで
、そんな面倒クサイ事はしなくなったんです。だいたい同じ物で
流しちゃうんですけど・・・
こういう事まで繊細にこだわる。
昔みたいに「この文字きれいだなー」とか感じない。
つまり文字への「こだわり」が無くなって来てるんです。
「知らない」ということでしょうか。
でもナゼ僕が文字にこだわってるかと言うと・・・
「印刷物の構成要素は写真と文字とイラストしか無い」訳ですから
チラシの紙面の中で「文字」が占めてる割合って60%ぐらい文字
で一番占有率が高い訳。
その文字に、こだわる当然です。
キレイな方が、バランスがいいほうがいいに決まってるでしょ。
それに文字にこだわったからって、コストが上がる訳でも何でも
ないんですよ。
だから、ちゃんと知って自分が表現したいチラシにどの文字を使
ったらいいのかって言う事に気が行ってるチラシと、気が行って
ないチラシだったら・・・
気が行ってるチラシの方がお客様に伝わる訳ですよね。
だから、そういう事をちゃんと勉強して、ちゃんとその中で自分
の伝えたい文字を絶妙のバランスで絶妙の拡大率でやって行くと
いう事が僕は大切なのかなぁという事が伝えたいですね。
だって、自分の給料の何十倍も掛けて、広告するわけですから、
こだわり過ぎるなんて事は無いわけです。
もう一度見直してみてくださいね。
<<10月25日開催の反響広告チラシづくり勉強会より>>