277-有事の金(きん)は買いなのか?

 

 香港が中国に返還される年に仕事で数回訪れた香港だが
僕より二歳年上の中国系アメリカ人のピーターと「お金」の話
で随分と驚かされた事を今でも思い出す。

 

 

 

 それは彼の資産管理についてなのだが、アメリカドルとユーロ
に大きく振り分け、業務上必要な分のみを中国元と香港ドルと円
の3通貨の計5種類の通貨で管理していると言う内容に驚いた。

 しかも5通貨中、日本円の評価は最低。

 長期に保有する事など一切眼中にないとの見解。
日本人である僕の国の通貨の最低な評価に目から鱗であったので
すが、97年の香港返還から6年、いまだに円を中心に保有して
いる自分のお金に対する知識の成長無さが恥ずかしい。

 そういえばバブル絶頂の15年ほど前、僕は高校を卒業し消費
者金融の武富士の初任給から地場の相互銀行に定期預金した金利
は6%だったことなど、今の情勢では幻のようだ。


 もっとお金について考えなければならないのだと深く思う。

 少ない資産であっても、無い時からの日々の鍛錬が大事のはず
鍛錬の無いまま、商品先物に手を出しても失敗するのが当然。

 さまざまな商品のメリットとデメリットを勉強し、実践でセン
スを磨くしかないのである。


 話は変わって僕の最近の関心事は「現物の金」である。
宝飾品需要ではなく、ポートフォリオのひとつとしてだ。

 なかでもメープルリーフなどの金貨も興味があるけれど、
やっぱりズッシリと重い「板」は眺めるだけでも中々興味深い。

 意味は無いけれど、スイス銀行の刻印のあるモノが良い。

 とにかくデノミやアメリカ経済への不安や戦争などを理由に、
金の復活や冒頭の伝説がマコトシヤカな意見も耳にするが、
確かにそろそろ資本主義経済の曲がり角、さまざまなパラダイム
の大きな転換期に、備えあれば憂いなしではないだろうか。

 ただし金の価格には為替の影響だけでなく、さまざまな市場の
思惑が交錯するので、予想以上に価格は乱高下するので、
なかなか素人が手を出しにくい商品であることも事実だ。

 しかしそれも金の魔力のひとつ。

 金の現物以外にも、金鉱山のファンドなんかも各社から発売さ
れていて現物には無い配当やレバレッジの効いた商品性に魅力を
感じるのは僕だけではない。

 いずれにせよ、銀行の貸し金庫の耐久重量の問い合わせが増え
ている事からも金の動きに注目が集まっている事は事実だ。

 しかしもう少し勉強が必要な事は間違いない。

 慌てずに先を急ごう。

 

  2003年11月26日   岡崎 太郎