401-問題に意識を集中することの功罪

 

功罪とは、手柄と過ちのことだが、問題に意識を集中すること
について考えを整理してみたい。


そもそも「問題の無い会社など無い」と師匠の岡部さんから聞
いたのはもう6年も前のことだ。 

 

 問題の無い会社の会社の部分を子供・社会・教育・政治・外交
と何に置き換えても意味が通るので興味深い。

 また問題には、問題の大小があり、その程度は個人の感じ方に
よって受け取り方が違うことを忘れてはいけない。

 つまりある人間には、とても大きな問題に映り、ある人間にと
っては、取るに足らない事柄に見えているコトがある。それは個
人の経験や知識またはモノの見方に左右されるのだろうが、それ
以外に、問題を感じるその時の感情の問題が大きくある。

 たとえば、会社の売上が順調な時は見えない問題が、売上悪化
に伴い問題が溢れ出るコトを考えると、ほとほと人間は感情の動
物だなぁと思う。

つまり気分が良好であるか、そうではないかが原因という訳だ。

 そんな理由で、ある日は問題に感じなくても、ある日はとても
大きな問題に感じてしまうという事がある。

 そんな気分屋の上司だと部下も苦労するなぁと思うのだが。

 往々にして人間は悪い印象を持つと、ひとつの問題を見て一事
が万事と思い、同じ理屈で新たな問題が生まれる予感を持ってし
まう。

 仕方がないとも言えるが、これは前向きではない。

 さて

 問題がないことなど無いという前提で考えを進めてみると「問
題を探す」のと同時に「順調にいっている」部分を探すという反
対の事を蔑ろにしていることを発見する。

 特に会議の場所では、この問題についての議論が行われるわけ
だが、問題というのは、ひとつ見つけると他にも無いかと探す傾
向がある(見つけてしまうと解決しないと気がすまない)もので議
論はどんどん粗探しになってしまう。

そう一方向ばかりに目をやらずに「順調に行ってる」部分を延ば
していくという発想を忘れてはいけない。

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 あらゆる問題を探し出し、リストにした後、優先順位順に並べ
その対処を考え淡々と実行する。

 これが今の問題解決のスタンダードなのだが「無用の用」を忘
れてはいけない。その問題は必要な問題であるかも知れないから
だ。

 人間の活動できる総量というのは決まっている理由から全てに
対処することなどできない。

 問題を並べ立てることで仕事をしている経営者やコンサルまた
は相談役をよく目にするが、問題を発見するのは一過程であり圧
倒的な解決実際にしなければ意味がない事を忘れてはいけない。

 だいたい問題に見えているが実は全然問題ではないこともたく
さんあることを忘れている。

 問題と思えば、問題に見えてくるのが人間で、反対に問題と思
っていたコトが実は問題どころか素晴らしいコトだったりと言う
コトも多くある。

 この「それは問題ではない」という発想のトレーニングを社員
研修にでも取り入れてはと僕は提案したい。
(フォレスト出版から発売されている「本番に強い人になれる」と
いう本の著者がやってるインプロ研修は効果があると思う)

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 多くの会社は、大小様々な数百から数千の問題を抱えている。
しかしその問題の源泉が何なのかを深く考えるコトが重要なこと
だ。多くの場合、ある一つの問題が解消すれば、驚くほど簡単に
複雑に絡んでいるように思えた問題がハラヒラハラと解けるので
おもしろい。

 その大きな問題とは、だいたい表面からは見えにくい問題の場
合が多い。

 たとえば充分もう本当の問題に気づいていながら「問題と思
いたくない」と思っている場合がある。多くの場合触れることだ
けでも嫌な問題なのだろうが、まずをもってその問題を解決する
方向で足を前に踏み出すことだ

 人間は、たくさんの事で悩んでいる気がしているだけでそんな
に多くのコトにいちいちは悩めない。一番大きな問題が片付けば
ほとんどの問題は一気に解決する。

 また多くの会社では売上が問題になる。確かに売上を上げるこ
とは最重要の課題であるが、そんな表面の問題以前に組織風土や
目標設定または商品開発の問題または初代と二代目の確執であっ
たりなんて場合が潜んでいることを忘れるなということだ。

 しかし短期的に売上を浮上させるコトは、企業の雰囲気を向上
させるにはもっともインパクトがあることは否めない。

 だからこそ会社の調子がいい時にこそ根っこの部分を改める意
識が必要なのである。なにせ時間とコストが掛かるからだ。

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 問題が気になり、小さな事が気になりだすと、問題がどんどん
増殖してしまう。まずは問題と思わない柔軟な発想を持つこと、
そして前向きな気持ちを萎えなせるような発言行動は逆効果であ
るという大前提を忘れないことが肝要である

 問題はいくら解決してもゼロにはならない。だからといって問
題を放置するわけにはいかない。

 しかし全体最適の視点を忘れ、必要以上に騒ぎ立てるようでは
リーダーの度量を疑われてしまう。

 老子曰く小さな問題は騒がず「とぼけていろ」と説いている。
 小さな問題をことさら大きく騒ぎ立てられたら辟易してしまう
ことは自分が一番知っているではないか。

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  2005年04月26日   岡崎 太郎