462-韓国3

 

 朝10:00 ホテルのロビーで地下鉄を作った男・安さんと再会
する。

 今朝の彼は昨日の軽装とは違い、上品なストライプのダークス
ーツで登場した。服地と仕立てのよさから気品が香る。

 

「おはようございます」僕は挨拶をする。彼はソファーからスク
ッと立ち上がると「ああ昨日はよく寝れたかね」と笑顔で答えた

 ソファーに並んで着席すると、彼はA4用紙に書きなぐられた
2枚の草案と新聞数種類をアタッシュケースから取り出した。

 内容は韓国語と英語そして日本語でびっしり書かれている。
 どうやら昨日のセミナーアイデアをまとめたらしい。

 しかし昨日あれから用意したと考えると「恐るべしだ」
妹尾さんが「凄いよね」と僕に耳打ちする。

 この用紙には、セミナーを行う学校や会社の具体的な名前が
列挙してあり、すべての団体のトップに直接交渉ができるそうだ
しかも、そのセミナー風景を新聞とTVに取材させるとまで書い
てある。

「後は君のやる気の問題」そういうと彼は僕にウインクをした。
 
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10:30 
 ホテルから10分程度の場所にある彼の娘さんが運営する留学斡
旋会社に移動。時間が無いのでタクシーで向かう。

 娘さんとご主人を紹介頂く。

 ご主人はフランクリンプランナーをよく理解しているようで
「モチベーションシート」の韓国戦略にも理解と興味を示してく
れた。考えてみれば日本でも自己実現系の手帳のマーケットは
極めて小さいわけだから、韓国でも意識して無い人の手帳への興
味などあるはずもない。

 つまり「売れる」と思って対応するか、頭から「売れない」難
しいと考えて対応するかで、導き出される答えは全然変わってく
る。

 どんな商品でも100人が100人売れると思わせることなどありえ
ない。ずいぶん昔の話だけれどバンダイの携帯育成ゲーム「たま
ごっち」があれほどヒットする前にどれだけの人が予測できただ
ろうか?

 売れた結果を見て「俺も売れると思った」などと言う程度の低
い人が多い。

 結果は結果である。

 その製品が自動的に売れる可能性を論じる前に、どんな手法で
販売するかを「売れる」という前提で考えることが先決なのだ。

 30分そこそこで硬い握手をして事務所を後にする。

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 すぐ近所に韓国最大の書店があるということで視察する。

 まぁ日本で言えば新宿紀伊国屋サイズだ。もちろん僕の本も2
冊置いてあった。プレゼント用に購入する。

 マーケティングのコーナーを注意してみると、翻訳本が多い。
ドラッカーにコトラーに現在日本でも売れている「ブルーオーシ
ャン戦略」と日本のラインナップだ。

 つまりこれだけの本が販売されているという事は、それだけの
読者つまりマーケットが存在しているわけだ。

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 予定になかった本屋の視察で次のアポイントに20分遅れてしま
う。ソウルの交通渋滞は名物であり、急ぐつもりで乗ったタクシ
ーが渋滞に巻き込まれる。

 結果予定を30分を過ぎて到着した。

 妹尾さんの知人で韓国最大の公認会計士を要する会社で勤めた
後、現在ベンチャー企業の公開サポートを行う会社を設立した人
物と接触する。

 彼は在日韓国人で21歳まで大阪で過ごした38歳。
 なので日本語はばっちりだ。しかもビジネススキルが高い。

 今回一番気合を入れて「モチベーションシート」の説明をした
。さて彼の反応は?

「岡崎さんセミナーをしませんか?先週もベンチャー協議会で集
まりがあって前半がセミナーだったんですよ。手帳の話でもマー
ケティングでもどちらもおもしろいと思うな。どうにかして岡崎
さんのこと知ってもらえばいんでしょうが、影響力のある人ばか
りだし・・・」

 ここでもセミナーの話だ。うーん。
スケジュールだけが心配だ。

 近くのサムゲタン専門店でランチ。美味しい上に滋養がついた
気がする。おなかも満腹。

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  2005年10月13日   岡崎 太郎