502-中学生&高校生に伝えたいこと

 

 先日(2006年01月03日)のニュースで公立の小中学校とくに
東京や大阪では4人に1人が就学援助の受給を受けていると報道
されていた。

 

 就学援助とは学校教育法で、経済的な理由から就学に支障があ
る子どもの保護者を対象に「市町村は必要な援助を与えなければ
ならない」と定めていることから実際には文房具や給食に修学旅
行などの費用を援助するものだが、この援助を受ける数がこの4
年で4割も増えたそうだ(朝日新聞調べ)

 文部科学省によれば全国の受給者は133万7000人。
受給率の全国平均は12.8%である。 

 最も高いのは大阪の27.9%。次が東京の24.8%、山口
の23.2%と続く。

 給付の基準は自治体によって違う。ちなみに足立区の場合、対
象となるのは前年の所得が生活保護水準の1.1倍以内の家庭。

 支給額は年平均で小学生が7万円、中学生が12万円。

 修学旅行費や給食費等は、保護者が目的外に浪費するのを防ぐ
目的から校長が管理する銀行口座に直接振り込むそうだ。

 ここまで信用が低いのは悲しいことだ。 

 さらに驚くべきことに、足立区内には受給率が7割に達する小
学校があるそうで6年生を担任する教員は、鉛筆と消しゴムそし
て白紙の紙を持参し授業を始めるほどに状況は酷いまるでアフリ
カの内戦地区のようだ。

 この男性教諭は卒業文集を制作する目的で「将来の夢」を作文
させようとしたが、3分の1が何も書けなかった。

「どんな大人になりたいのか、イメージできない」のか「将来に
悲観しているのか」「授業への参加意識がないのか」「心が荒ん
でいるのか」理由は定かではない。 

 もし将来のイメージを形作る上で選択肢の提供ができていない
のであれば大人の問題だ。

 昔に比べてテレビやネットで情報が増えたからと言って受信が
上手く出来ていない懸念がある。

 たくさんの情報に溺れる前に受信を拒否していないか?

 13歳のハローワークのような形で体系的に将来の職業観を提
示するのはよい試みだと思う。

 将来のイメージは情報との出会いで画期的に変化する。
ある出会いがなければイメージは生まれない。刺激的な情報に心
が踊る体験を何回与えられるのだろう。

■二極化

 私立の学校へ就学させるも目的で1カ月に何万円もする塾へ通
わせる家庭がある一方、補助を受ける子どもが4割にも達してい
るとは・・・二極化と言葉で簡単に言いのけてしまってはいけな
い。小子化の問題もそうだが、年間十万円に満たない援助では焼
け石に水だ。

 子供の安全リスクを減らすための活動も問題だし幼稚園保育園
の問題と子供に関しての問題は山積みだ。

 しかし資本主義国というのはチャンスは公平であるという前提
があっての話であるべきだ。義務教育期間にも関わらず親の収入
の高い低いが子供の可能性を限定してしまうのは悲しい。

 この補助を一般財源化してしまった国は、次世代の社会形成を
どう考えているのだろう。

 既得権や官僚の理屈は横に置いて、すべての子供が自分の将来
に「幸せな予感」を持つことができることを一番に何が最善であ
るかを考えて欲しい。

 
  2006年01月16日   岡崎 太郎