529-バングラ9

 

バングラ4日目。

 朝8時にホテルをチェックアウト。

 昨日観光しそびれた国会議事堂をまわり空港に行く。

 

なんと言ってもアメリカの有名な建築家ルイスカーンの遺作な
のだ。建設に20年!これは見逃せない。

 ちょうど今日本でもドキュメンタリー映画「マイ・アーキテク
ト/ルイス・カーンを探して」が公開されている。

 映画の中でもバングラデシュの国会議事堂にて、地元の建築家
が涙をぬぐいながら 「彼は貧乏な国だということを気にかけな
かった。実現するか否かもね・・・だから、 最貧国に彼の最大
の建物ができた、命を代償にして」と語っている。


 その広大な敷地にその存在感のある建築物はたたずんでいた。

 凄い。僕は偉大な建築物の迫力に息を呑んだ。

 まさにバングラの宝だ。
 
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 僕の旅も終わりに近づいていた。

 バングラの空港は今日も賑やかだった。

 インドからネパールそしてバングラと旅をした大学生に出会っ
た。砒素を分解する製品を売りに来た開発者の日本人にも会った
いろんな人がいる。

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 バングラの砒素問題はかなり末期的で、聞けば村の男性が1人
残らず死んでしまった所もあるそうだ。ちなみにミネラルウォー
ターにも砒素が入ってる国だ。もちろん飲んでも影響の無いほど
極微量らしいが、それでも気持ち悪い。

 調査された約1000箇所の井戸の8割から高濃度の砒素が確
認され数年以内には農作物からも砒素が検出され、食べるには死
を覚悟しなければいけないらしい。一刻も早く対策が急がれる。

 なんてことだ・・・


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砒素汚染の広がり 

トータル 43% 砒素汚染の発生した郡数 211 総郡数 490 

Sylhetv :北東部 97% 34/ 35 
Barisal :南部 47% 18/ 38 
Khulnav :南西部 66% 42/ 63 
Rajshah :北西部 27% 35/127 
Chitagong: 南東部 22% 21/ 93 
Dhaka :中央部 45% 61/134 

出所:Hasan [2001], Table XVIII.1, p. 268. 
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 ストリートチルドレンにしてもそうだ。生まれたばかりの赤ん
坊の腕を肩から切り落とす。その方が物乞いがしやすいからだそ
うだ。

 この国はどうなるんだろう。

 僕は何ができるんだろう。

 今回の旅では、日本の中でヌクヌクと暮らしていては感じられ
ない事をたくさん感じた。

 朝起きて、働いて、飯を喰い、交わり寝る。その原始的な欲求
をはるかに超えた次元の悩みを持っている自分がアホらしくなっ
た。

 でもだからと言って何ができるのだろう。たった4日で何を偉
そうに・・・

 ただ一生懸命腐らずがんばるしかないのだ。

 今日を懸命に生きることが生きるという事なのだ。
 

 
  2006年03月23日   岡崎 太郎