545-2通りのやり方

Aのやり方が駄目だった場合、Bという違う方法があることが
大事である。


 先日こういう事があった。クレジットカードの暗証番号を忘れ
てしまったのでカード会社に電話をし暗証番号をランダムに再設
定してもらい、その番号を事務所の方に郵送してもらうよう手配
した。

 ここまではスムーズだ。

 ところが、この封書が30日経っても到着しない。そこで再度
クレジット会社に再送依頼の電話を入れた。

「おかしいですね。わかりました再送の手続きをとらせて頂きま
すね」オペレータは綺麗な声で応対した。声質・スピード・イン
トネーション・会話の運び方、そのすべてがパーフェクト。きっ
と教育が行き届いているのだろう。

 しかし僕は納得がいかない。
 ちょっと待てよ。やっぱりこの対応はどこかおかしいぞ。

 届かないこと自体は事故かも知れないけれど、待ってる身の気
持ちを考えてない。対応は綺麗だが心が無い。そういうと感情論
のようだが問題はそうでもない。

 整理すると納得がいかない点は、一回失敗しているのに、同じ
方法でトライしようとすることである。続けて失敗したら事故に
あったらどうするつもりだろうか?

 あまりにも想像力が無い。マニュアルにそこまで書いてないの
だろう。
 
「ねぇ、送ってくれるのはいいけれど、今回は書留郵便または宅
配便で送ってくれる?」僕は彼女に提案を試みた。

 ところが

「すみません。配送は普通郵便しかできないんですよ」とピシャ
リ。

「他に方法は無いんですか?」

「ありません」

 なんだ?このやり取りは・・・信じられない。せめてAが駄目
だった場合の想定くらいないのだろうか?

 僕はガッカリした。
 
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 さて

 本来のエクセレントなサービスはどうあるべきだろう。いい機
会なのでもう少し考えてみよう。

 答えは、
 「その封書が届いたかどうかの確認をするである」
 
 もちろん、モノがカードだけに使用実績でわかれば電話は必要
ない。ポイントはミッションがフィニッシュしたかどうかだ。

 仕事はポストに投函したら終わりではない。

 なにせカード利用の頻度が高い顧客の場合、些細な事故が大き
な機会損失につながることも想像できる。しかも最悪は他社のカ
ードをメインカードとして使い始めるきっかけを与える。

 僕が考えているコトは、このような顧客接点が生じた場合、と
ことん丁寧にやるべきというコトだ。

 たしかにコールセンターには1日何千件という電話が入るかも
しれない。しかし、いちお客様にすれば年に1回かけるかどうか
の電話の場合が多い。

 個客発想での対応が試される瞬間であり信頼が生まれる瞬間な
のである。


 

  2006年05月09日   岡崎 太郎