546-サイモン

 連休中に複雑系の経営学の本を読んだ。
 
 きっかけは日経新聞のコラムにあったノーベル経済学賞受賞者
のハーバード・A・サイモン博士の「人間行動のモデル」(宮沢
光一監訳)からの引用文を読んで興味をもったからだ。


 

 複雑系。

 なにか深遠な響きのある言葉でワクワクする。

 株価の上下。消費者の購買心理。経営者の意思決定などには多
くの要因が複雑に関係してひとつの方向に収斂される。

 複雑なモノを単純に分解して単純な答えを求めるだけじゃなく
複雑なモノは複雑に捉えないと真の解は求められんのではないか
という考え方で、その過程や力学を解き明かそうというのが複雑
系という学問である。

 もちろん経営学だけでなく物理に科学に心理学と範囲は広い。


 ちなみに僕が興味をもったサイモンの引用はこの一文。

「世界の複雑さに比した人間の合理性の限界」

 つまり不確実性のもとで情報を収集処理するとして認知と計算
には限界があることを強調しているわけだ。

 そこで読んだ本が複雑系経営学で有名な塩沢由典先生の「複雑
系経営学入門」という本。

 塩沢先生は、この限界説を「視野の限界」と「合理性の限界」
と「働きかけの限界」と整理され、これを「人間能力の3つの限
界」と説明している。

 この理論は、消費者がある製品をもっとも安く購入したいと考
え行動しようとしても、それには限界があるということですね。

 確かにインターネットの出現で情報の収集はかなり楽にはなっ
たことは間違いないけれど、すべての選択肢を抽出できるかと言
えば出来ない。なにせネットに掲載されない情報もまだまだある
からです。これが視野の限界。

 次にすべての選択肢を比較検討または計算することは不可能で
ないにしろ膨大な時間が必要である。これが合理性の限界。

 そこで人間は曖昧な記憶そして好き嫌いといった感情や直感に
頼るというわけです。

 そして「働きかけの限界」これは上司から部下への説教をイメ
ージしてもらえばすぐにわかる事ですが、いくら理屈の通った話
であっても納得できんと言うケース!ありますよね。

 単純に言えばこれが働きかけの限界。おっとこの場合、先の消
費者の例ではどうなるんでしょう。

 難しいなぁ。もっと勉強しなきゃアカンね。塩沢由典先生の本
だけでもたくさん出てるし!
 
 まぁとにかく複雑なわけです(笑)
 
 ネットでハーバード・A・サイモンの「人間行動のモデル」と
検索してみると、この古典が古本屋で販売されてたのでおもわず
買っちゃいました。(僕の生まれた1970年に翻訳された本!)

 

  2006年05月10日   岡崎 太郎