オンデマンド印刷という印刷手法がある。
簡単に言えばプリンターの進化版なのだが、ワントゥワンマー
ケティングのキーファクターとして期待されつつも中々日の目を
見ない。
良い点は、顧客ひとり1人にマッチした情報(商品やアドバイ
ス)を提案できることは言うまでも無い。
顧客の趣味や嗜好性を分析し必要だと考えられる提案を行えば
売上げ向上に期待ができると言うわけだが・・・
なにせ顧客の定性分析が難しい。
消費者の心理や行動ルールをどうやって判定するのか?そんな
手法は未だ発見されていない。それこそ複雑系も複雑系である。
たとえば高級フランス料理を食べたけれど、実はカップ麺が大
の好物かも知れないれない。つまり値段に関係なく気に入れば購
入する消費者像がそこにある。とくにアパレルなどデザインやカ
ラーという要素の強い市場では、その年のトレンドにもっとも左
右されてしまう。分析するとしても極めて短期間の集計になる。
そんな理由でアバウトに分類することは可能であっても、それ
がどこまで販売を押し上げるかその効果は懐疑的と言わざるえな
い。
(ちなみに書籍や音楽や映像のソフトと言ったようにあらかじめ
商品の色分けが明確な分野では、かなり効果的な分析が行えるこ
とは興味深い。消費者もそのラベルや記号を意識して購入しする
からだと考えられる)
さてフィーリングや好き嫌いと言った定性ではなく定量的な分
野でのオンデマンドに活用は進んでいる。
たとえば、健康食品販売の場合、顧客の使用実績を予測しDM
の発送時期をコントロールするなどが上げられる。
この際に注文用の返信ハガキに顧客の名前や会員番号を前もっ
て印字することがオンデマンドの魅力だ。もちろん特別セールの
期間を顧客ごとに変えることも出来る。
お中元やお歳暮のギフト通販で前回の送付先がリストで印字さ
れているのも同じである。
ただし小回りの効いた業務を行うためには自社内にプリンター
を設置する必要があるが最近は初期コストもランニングも比較的
低単価でありながら印字の質やスピードも改善された製品が発売
されている。
プリントゴッコで有名なリソーの製品をチェックしてみて欲しい
http://www.riso.co.jp/
チラシの表面だけは大量に印刷しておき、裏面に顧客にあわせ
た情報を自社でプリンターを使い印字すればコストは下がる。
まだまだ知恵と工夫で改善の余地はあるだろう。
しかしネットにくらべ印字や物流が発生するコスト高な紙広告
の未来はどうなるのだろう。物質として存在する価値を高める事
がそのひとつの方向だと思う。保存保管コレクションされるほど
の価値が必要になる。つまりコンテンツの価値だ。
環境的に考えても、すぐに要無しになる情報の媒体として紙を
使うべきでは無い。
ネットで代用できる事はバンバン代用されるだろう。