576-ブラックになっちゃった件のその後のその後

ようやく担当の支店長(赴任したばかり)とカード事業部の
責任者が挨拶に事務所にやってきた。

 ちなみに菓子折りもナシである。


 

 これは驚くべきことだが、それにもまして事情説明用のレポー
トもない。口頭で「情報は元に戻りました」だけの報告だった。

 信じられない。

 レポートが出せない理由は、個人情報である。
意味がわからないでもないが、都合のいい時だけ個人情報を盾に
する。そもそも今回ブラックでもなんでも無い僕をブラックにし
ておいてそれはないだろう。

 呆れた。

 そういえば、子供の通う小学校で連絡網を作ろうとした際、
個人情報を言い訳に電話番号を教えないと言う親がいた。

 そういう輩は口を揃えて個人情報が漏れるのが怖いと言う。

 何がそんなに怖いのか?

 社会と接点を持つという事は自分の情報を漏らすという事なの
に、なんていう誤解なのだろう。

 今回の対応にしたって、僕が声を荒らげることで、本来電話で
公開してはならないはずの情報(ブラックになっていること)を
電話を切りたい一心で僕に伝えた。

 社会はゴネる人間の得なようにできている。

 この不公平感。怒れる人間の役得なのだ。

 そう考えると、後半冷静に対応した僕の行動が、その後の銀行
の対応が緩慢だったと思われる。

 起きてしまった問題や事故は仕方ないとして、ここからは組織
上の問題なのだが、ひとつはクレームのエキスパートがいるかど
うかで、もうひとつはそのエキスパートまで情報が伝達するかで
ある。情報伝達のパイプが目詰まりしていてはどんな力さえ発揮
できない。これはエスカレーションのルールと組織風土の問題な
のだが・・・

 先日、僕はこの銀行の顧客相談窓口に電話で報告をした。

 ところが、どうもその担当から管轄支店に連絡を入れただけの
ようで、僕には窓口からはなんの連絡もなかった。そのかわり支
店長からは電話がすぐにはいった。

 これでは問題は解決するはずもない。バイパスの意味がわかっ
ていないんだね。
 
 バイパスとは、まず情報を収集し現状を把握をした後、問題の
表と裏側を考え、今までの対応とは別の解決方法をいくつか討議
すると同時に、この最悪の結末を想像した上で、覚悟を持って速
やかに解決にあたることだ。

 担当部署を急かすだけでは何の解決にもならない。

 最悪の結末とは、もし僕がマスコミにリークしたらどうなった
と思うのだろう。金銭での保障を訴えたらどうするつもりなんだ
ろう。そういうことである。

 次にエキスパートは近い将来に問題がおきそうな状況を見張ら
なければいけないわけだが、同じような問題、または全然別の事
例にみえる問題にも対応するための準備をしないといけない。

 それは起きた事例を細かく分解し整理することからはじまる。

 そして幹部社員はもちろん末端の社員に緊張感を伝えるのが
仕事である。

 間違ってもマニュアルでの対応を出口にしてはいけない。

 刻々と変化する現代において、現場でマニュアルは役にたたな
い。それよりもリアルなケースを主題にして、考えさせる研修を
実施すべきだ。

 その研修においてリアルなケースは役に立つ。リアルな想定で
なければ想像が膨らまないからだ。

 何が問題なのか? なぜ問題なのか? 最悪のケースは?

 考えに考えさせるのだ。
その思考力と想像力が問題を大きくさせない唯一の防御である。

 クレーム応対とは、クレームが発生したスタート地点まで状態
をまき戻すことだが、往々にしてスタート地点の認識がズレてい
る場合がある。

 今回の件では、JALカードの申し込みがスタート時点なのだ
つまりJALカードの申し込みと契約がスムーズに行われること
が解決なのだ。

 僕が、カードの再申請をするとして、どんな事が予想されるか
この部分を想像しなければいけないのである。

 情報センターの情報は綺麗になっていても、前回否認された事
実は残っているわけである。僕はこのことを説明しなければいけ
ない。これはたいそう面倒な話だ。

 しかし彼らにはどうもその想像力はないようである。

 一応帰り際に、次回はクレーム対応の総責任者と話がしたいと
宿題を出した。

 さてこの対談はいつ実現するだろう。

 

  2006年08月23日   岡崎 太郎