586-スイスの専門学校

 タイのホテルでは3つ驚いた。

 1つはネットで予約したはずの宿泊が取れてなかったこと

 2つ目は、予想以上によかったこと

 3つ目は、スタッフに日本人がいたこと。

 日本人だけならそんなに驚くことはないけれど、この男の子が
凄い。まだ19歳だというのに、高校一年からニュージーランド
でホームステイをしながら卒業し、そのままスイスのホテルマン
養成専門学校に入学したと言う。

 1年に3ヶ月程度実地研修が行われるそうで、1年目のスイス
に続き2年目の今年はタイだそうだ。

 徒歩で消費者金融の取立てをやってた僕の19歳とくらべてみ
ても何だろうこの違いは。

「どうしてスイスなの?」と彼に聞いてみた。

「フランス語が学べるし・・・」

「えっ?」

「キャンパスがフランス語圏のモントルーに位置するからフラン
ス語なんです」

「ほう」

「それにヨーロッパではなかなか由緒正しい学校で卒業生は業界
から引く手数多なんですよ」

 なるほど合理的な判断らしい。

 しかしなんてグローバルなんだろう。ちなみに現在、日本人の
学生は彼1人だそうだ。トモタカ君!君は将来たいへん有望であ
るぞ。「僕は君の最初のお客として将来勤めるホテルにはすべて
宿泊するからぜひメールを下さい」と伝えた。

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 さてタイ人の日本語勉強熱はなかなかのモノです。

 トモタカ君の影響もあるようですが、スパの待ち時間にスタッ
フから日本語を教えて欲しいと頼まれました。
 
 現地語で書かれた日本語の教科書を手に発音を教えて欲しいと
言う。即席の日本語セミナーだ。

 すぐに3人のタイ人が僕を囲んだ。

 なんでも、日本語で声掛けをして驚いて欲しいそうで、彼女は
僕をまっすぐ見て微笑んだ。

「悦んで欲しい」「驚いて欲しい」とは、なるほど接客の鏡だ。
 
 それから動機が「お金」でなくてホッとした。

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 将来の夢にまっすぐな人に出会うと元気が湧いてくる。

 情熱に理由は要らないのかも知れない。理由を考える前に動い
て見なければはじまらない。人生などちょっとした偶然でどうに
でも変化するものだ。

 その変化の素となる偶然を掴むのは行動の量だと思う。

 

  2006年10月10日   岡崎 太郎