音楽や絵画に陶芸そしてバレエに演劇などの芸術分野において
の活動が表現なんだと28歳くらいまでそう考えていた。
中でもセールスなんて、もっとも芸術から離れたポジションに
あるものと考えていた。
ところが、ある日ビジネスも芸術とまったく同じように表現で
あることに気がついた。ちなみに通販という業態にいたから余計
にそう思ったのかもしれない。
広告デザインや商品開発のことだけを言っているのではない。
採用から資金繰り。組織のモチベーションを含めすべての業務
がまるでアナログ精密時計のたくさんの歯車がきちんと仕事をこ
なすように働いた結果、成果が現れるからだ。
オーディエンスが贈る拍手のかわりに顧客から売上げが届く。
今の時代、評価はスピーディーでダイレクトだ。
作曲をするように商品をサービスを生み出したい。
販売はまさに表現であり芸術なのだ。
(そういえば「華麗なる詐欺」「彼のテクニックは芸術的だ」等
と比喩されるが、これはそう遠い話ではない。)
ちなみに売上げ優秀な訪問セールスマンには、カラオケの上手
な奴が多い。もとバンドマンや演劇出身なんて経歴の人が夢敗れて流れ流れついたかも知れないが。
たとえば、話ひとつ。
声の大きさから表情に身振り手振り。そして絶妙の緩急と相手に
イメージさせるような組み立て。相手を前のめりにさせるのはテク
ニックではあるが、そう簡単に身につけられるもんではない。
天性とまでは言わないが才能ではある。
経験の中からよーくわかっているのだろう。
さて少し乱暴だが、人生は表現だと言える。人生劇場の上で一
生という演目を演じているのだ。
だから会社経営はもちろん表現であり。恋愛も失恋も結婚もす
べてが表現なのだ。
「組織は私の芸術作品である」これは僕の師匠のセリフである。
なるほどと思った。