657-108円と150円

よーく見ていないと見過ごしてしまう事がある。

 ポスレジの恩恵なのか、コンビニ商品は入れ替わりが早い。
 きっとメーカーにとっては頭痛の種だろう。


 

 そんな環境の中、長年にわたって育ててきた定番ブランド(他社を圧倒す
る商品力と認知度)を所有しているメーカーは強い。

 中でも日清のカップヌードルは定番中の定番である。もちろんソース焼き
そばのUFOも強い。

 カップ麺の中では広告展開・パッケージ・ネーミングのどれもが上手であ
る。日々行われる、旧来の定番商品の絶え間ないバージョンアップ。
 具材ひとつとっても大きさ・味・食感と進化していることが消費者にも伝
わるレベルである。UFOの水切りフィルムやソースの変更は皆さんも承知
のことだろう。

 ところがコンビニで異変がおきている。
 タイトルの108円と150円だ。

 108円はセブンホールディングスがサンヨー食品の「さっぽろ一番」を
使い投入したほぼPB商品。ヨーカ堂とセブンイレブンの共同開発仕入れで
コストを下げ低価格を実現した商品だ。

 150円は日清のカップヌードルである。

 実にその価格差は28%。
 確かにインパクトのある価格である。

 ブランドか?価格か?

 味はどうだ?さっそく108円ヌードルを実食してみた。

 具材は多く、見た目にも贅沢だ。
 ところが、味は普通、麺もスープもいまいち。
 到底、カップヌードルにはかなわない。
 パッケージデザインもいかにもPBですという中途半端なもの。

 なんだろう。「サッポロ一番」のブランドは何なのだろうかと考えさせら
れる。必要あるのだろうか?

 味は絶対にカップヌードルだろう。

 残るは価格だ。 

 消費者は108円を選択するのだろうか?
 安さを選択するならディスカウントショップへ行けばいいのではないか?

 いや、自然に考えれば、利便と安さに勝てるものはない。
 悲しいかな108円に軍配があがるのだろうか・・・。

 PB戦略として、顧客層のもっともボリュームの大きな定番セグメントで
商品化するのはよくわかる。

 利便性を売りに定価販売を守ってきたコンビニ。

 新たなチャレンジなのだろうが、定番の商品として美味しい部分は、自社
PBで、それ以外開発に手間のかかる部分はメーカーで品揃えというのは、
虫がいい話ではないだろうか。

 僕は150円でも日清のカップヌードルを選ぶ。

 凍結用ボトル仕様のドリンクが去年から販売されている。
 コンビニの冷凍ショーケースにアイスクリームと一緒に併売されている。

 初夏から、レジャーのお供として企画されている商品。

 運動会に草野球に草サッカーに500mlペットを家庭で凍らせるのは
生活の知恵であり、その生活の1シーンから生まれた商品だ。

 そう考えれば、春の行楽弁当や夏は花火、冬はおでんと商品を企画展開し
てきた原動力は企画であって価格ではない。これは魂の問題だと思う。

 去年末、セブンホールディングスと日清の限定企画でホワイトカレーヌー
ドルというのがあった。セブンイレブン傘下限定販売だったが・・・

 方向はこっちではないのだろうか?
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■参考情報

「セブンプレミアム」

 2007/5/23からセブン&アイホールディングスはグループ共通のPB商品
「セブンプレミアム49品」をイトーヨーカドー175店舗、ヨークベニマル147
店舗、ヨークマート58店舗、シェルガーデン8店舗、また商品の一部は除く
がセブンイレブンでも発売する。

「セブンプレミアム」の開発体制と販売体制は、昨年の11月に設立された
セブンイレブン、イトーヨーカ堂、ヨークベニマル、ヨークマート、シェル
ガーデンの5社を横断するプロジェクトチーム「セブン&アイ グループMD改
革プロジェクト」総勢76名、17部会46チームである。

 カテゴリーは乾物、調味料、嗜好品、カップ麺、飲料、ゼリー、菓子、ヨ
ーグルト、和惣菜と9カテゴリーからスタートし、順次、カテゴリー、商品
数を拡大し年内には300品、3年後の2010年には1,000品から1,200品となる計
画だという。

 また本来は小売業の信頼で販売するのがPBだが、今回のPBは「メーカ
ー名」を公表するとのことで、PBの信頼度も増す効果を狙う。

 ライバルのイオンが現在のPB商品による売上げ約2200億円を2011年まで
に7500億円に拡大する方針を発表しているが、ともかくセブン&アイホール
ディングスが動くことで、イオンのPBである「トップバリュ」と全面激突
となる。

  2007年05月27日   岡崎 太郎