686-次々販売

新手の悪徳商法として朝のワイドショーで紹介されていた。

 取上げられていた事例は、57歳の気弱な主婦が5年間で宝飾品や健康食
品・電磁調理器や鍋を3000万も売りつけられたという内容だった。


 

 年平均600万、1ヶ月にすれば50万円である。金額の高い安いは
比較論と財布の中身の問題だが、一ヶ月の給与が17万円というこの被害者
の主婦曰く、虎の子の学資保険も解約して支払いに充てないといけない状況
だと嘆いていた。

 正直僕の感想は「じゃあ買うな」である。脅迫されて買ったわけではない
だろうし。ここまで拗れる前にできることもあっただろう。

 番組の中では、はじめの頃は8万円や6万円といった商品の販売ばかりだ
ったのが、4年目から100万円オーバーの宝飾品が目立ってきたと紹介し
ていた。思うに業者にしてみれば、この主婦はどんどん買うなぁと、つい調
子に乗ったのが想像できる。

 ともかくテレビは、この事例を証拠に悪徳業者の裏には、個品割賦つまり
個別にクレジット契約を結ぶスタイルのクレジット販売に問題があると突き
上げていた。

どこからが悪徳なのかの線引きは極めてナイーブな問題である。もちろん
いわゆる社会的弱者といわれる高齢者や判断力の低い消費者へ強力なセール
ス技術とネバリで販売するのは問題である。

 しかしこの主婦の世間知らずぶりは褒められたものではない。
もっと社会を知り順応しなければならない。未だ振り込め詐欺に引っかかる
高齢者より若いのだから。

 つまり自己責任である。

 もうひとつのポイントはクレジット業者である。たとえばこれが現金であ
れば支払い能力には問題はない。もちろん無理売り無茶売りの問題はあるわ
けだが・・・。

 ともかく支払能力以上のクレジット契約を締結した業者の責任がある。
 与信の管理は一体どうなっているのだろうか?

 企業倫理を嘆くのは簡単だが、明確なルールの設定は難しい。
大手の消費者金融の社内規定では、年収からトータルの借入れ金を引き算し
て支払い能力を判断している。これは銀行もそうだ。

 それでも問題は減らない。比較的良心的な金融が手を出さなくなった後は
闇の金融部隊が背後に大きな口を開けてまっている。業者を縛ってもこの問
題は無くならない。いっそ消費者教育と救済手段に集中してみてはどうだろ
う。

  2007年10月05日   岡崎 太郎