685-バケラッタ

 世の中には超スペシャルド級のお金持ちがいる。
 7月にはじめてバリ島を訪れた際に紹介されたのだが凄い。


 資産は推定3桁億で、所有している土地はもう正確にわからないそうだ。
 会社は土地開発にはじまり不動産販売・賃貸・設備工事・造園・コンビニ
経営から飲食事業に人材派遣までありとあらゆる事業を展開している。

 3日という短期の滞在では、とても彼の全貌を捉えることはできずに消化
不良で帰ってきたため、超タイトなスケジュールの間を縫ってバリ島へ再度
飛んだ。

 日本のマンションから車そのすべてを現金に換え、新天地バリ島に根を
はり12年。長いようで短いこの期間にどうして莫大な資産を形成できたの
かこれはとても興味深い。

 僕は直観で彼の考え方や習慣に秘密があるはずだと踏んだ。

 関西空港からバリ島へ。入国審査を済ましゲートを抜けると、あと少しで
真夜中の24時になるところだ。お迎えの車に乗り込み、空港から車で2時
間離れたヌガラと言う場所までノンストップで走った。彼が所有する15の
個人宅のひとつだ。(ちなみにそのすべての敷地はそれぞれ1500坪クラ
スでプールが装備されている)


 到着予定時刻は2時をまわりそうだ。取材は明日からだろう。

 邸宅に到着するとお手伝いさんが出迎えてくれ、トランクの荷物を運んで
くれた。すると予想外にも本人が出迎えてくれた。

 こんな夜中だというのに信じられない。

 僕は保冷材をしこたま仕込んだ保冷バックから、鹿児島のさつま揚げと唐
津のイカシュウマイに博多の辛子めんたいとイカ明太・いわし明太そして免
税店で買ったマムのシャンパンをプレゼントした。

 快く取材に応じていただいたことへの感謝である。

 リビングに通されると、東京からの客人3人とスタッフの1人を紹介され
る。どうやら僕を待っていたというより、話に花が咲きまくっている状態だ
ったらしい。

 いきなり面白い話が聞けるぞと僕はノートとペンをリュックから取り出し
臨戦態勢を整えた。関西出身の彼の話は、シリアスな中にも笑いがあり飽き
ない。メモはどんどん貯まっていく。驚くことに前回と重複するネタがまっ
たくない。
 
 そのどのネタも秀逸で、しかもロジックにネジレがない。

 しかしこの話はいつまで続くんだろう?そう思った途端に雄鶏の鳴き声が
聞こえてきた。

 時計を見ると朝の6時を回っていた。
 東の空は白けてきた。

「寝ないと死んでまうど」彼の一言でおひらきとなった。

 ともかくまさにエネルギーの塊のような人だ。

  2007年10月04日   岡崎 太郎