早いもので通販コンサルを生業にして8年がまるまる経った。
ここで少しコンサルについて感じることを書いてみたい。
ある大手メーカーの担当から相談を受けたのだが、聞くと担当部署の役員
が無類のコンサル嫌いだという。この例と同様にコンサル嫌いの社長や社員
も多い。おかげでこの案件は仕事にならなかった。
よくあることだ。
僕の推測の域はでないが、たぶん彼らの言い分は、コンサルなんて口だけ
で結果に責任を持たない。俺らは現場で戦っているのに大きなお世話だとい
うのだろう。
よくわかる。僕も現場をやってた頃は同様の感覚を持っていた。
この感覚は極めて正しい。
コンサルの費用は従業員の給与と時間あたりで比較するとベラボウに高
いものである。
そんな金をかけるなら給与を上げてくれという直接的な意見も多い。
そのうえ、過去の成功体験に生きているコンサルが多いのも事実。中には
なんの成功体験も無いのにコンサルをやっている輩もいるし海外の手法を
やたらと並べる輩もいる。
ただしコンサルタントの貢献によって事業が急拡大した良いケースも
たくさん存在している。成果ベースでコストを考えれば安いもんである。
ただ問題のあるコンサルタントも多いので見極めは難しい。
そもそもコンサルとは何だろうか?
■失敗の危険性を減らし成功の可能性を高める。
■一緒に考え知恵を出し、選択肢を広げ、その後決断を後押しする。
■経営者と現場の意思疎通を円滑にする。
■高度な専門知識と成功体験からマインドセットに変革を与える。
■組織に風穴を開け、スピードを高める。
■外部スタッフや関係業者など使えるリソースを増やす。
などが考えられる。
次にコンサルティングは、いくつかの種類に分けられる。
まずば資格取得系のコンサル。これはISOやプライバシーマークなど
に代表される資格や認定を取得するための手順や社内整備を手伝うものだ。
最近では上場企業向けに日本版SOX法などの導入などもある。
次に社員の評価システムや組織の活性化などを手伝うタイプのもの。
次にコンピューターシステムの構築に伴うコンサルティング。
他にも財務系の無駄を省いたり効率化を手伝うものなどがある。
経営分析や戦略の立案などもこの範囲だ。
どのタイプも結果が求められるが、ある程度の手法や道筋があり期間や
効果も予想がつく上に、クライアントもコンサルに望む事が明確だ。
ちなみに変わり種ではM&Aや上場支援などもある。
さて最後に販売営業系のコンサルティングである。
僕がやっているコンサルはこの範囲になる。
通販に限らず事業支援を行うこのタイプは結果が売上げの向上である
ため、他のタイプに比べてカバー範囲が広い上に、明らかな結果が求められ
るタイプだ。
販売しようとする商品が魅力の薄い物であれば結果は半減する。
単に広告の支援を行えば済むものではないことは、このことからわかるだろ
う。同様にバックエンドの仕組みが構築されてなければ、まさにザルであり
利益を最大化させることはできない。
つまりカバー範囲が広いのだ。範囲が広いために様々な成功を阻害する
因子が複合的に結合する可能性が高い。
もちろん依頼される内容のトップは、新規顧客獲得のためのオーダーで
あり、商品・広告に集中している。バックエンドの仕組みが未構築であって
も、まずは新規ということなのだ。(分析は皆さん好きなようだ)
さて問題は実際の広告デザインを商品企画を誰がするかということだ。
僕は社内のスタッフがディレクションできるようになることが望ましいと
考えている。製作は外部内部を問わずにだ。
ではコンサルタントは口だけか?
そうではない。その教育および体制を整えることがコンサルの腕の見せ所
だと考えている。
しかし、現実な話、クライアントの中には、時間的猶予と社内人材の不足
から、理想的な環境から程遠い場合が多い。
リクルーティングを行う意思決定を推進するのはもちろんのこと。
中途人材の紹介もできる限り行う。
ただし緊急な場合もある。
その場合、コンサルティングではなく、外注請負も行う。
もちろんこの場合は別料金になる。
しかし僕の実積でもCPO一万円を下回るのは3割といったところだ。
状況にもよるが、だいたい実費プラス一割程度が基準であろう。
あとは成功報酬である。
(業界に標準価格といったものがないので相互信頼が大切になる)
ただし、問題になるのは成功報酬の%だ。
これは大変ナーバスな問題でありこれも基準がない。
結果、折込やテレビの広告枠まで我田引水的に引っ張るケースに落ち着い
ている。希望は純粋にクリエイティブの価値に対価を払って貰うことだが
未だ日本では難しいようだ。
広告の著作権の所在なのだ。
通販の肝の部分である。
数十万円でいいわけがない。
しかしこの感覚はとても理解されにくいようである。
携帯電話のダブル定額のような利率変動も考えないといけないだろう。
最後に経営者との信頼関係がなければ、コンサルティングなど成り立たな
い。これは綺麗事ではなく真実だ。両者が腹を見せ合い、徹底してゴールへ
向かう覚悟を持つことだ。そのためにコンサルタントは高い視座と志を持ち
常に人格を磨き、誠実に生きることが望まれる。