タイムドメイン社という国産スピーカーメーカーがある。
ライセンス製品としては富士通や日立マクセルまたBauXarといった複数の
メーカーから多数発売されている。有名どころではラグビーボール型の製品
でアップルストアーにも常時並んでいる。
技術的な説明はあえて省くが、とてもこのサイズのスピーカーとは思えな
い音が鳴る。
中でもフラッグシップの「Yoshii9」の音に数年前から興味を持っていた
が視聴することなく過ごしてきたので「モチベーションシート」のタスクに
「Yoshii9視聴」と追加しておいた。
とにかく設計が今までのスピーカーとはまるで違うのだから
どんな音がなるのが興味深々なのだ。
先日、南青山にある「ソシテ So Shi Te」という素敵な雑貨屋に置いて
あるとのことで立ち寄った。http://www.mabysoshite.com
(東京には11箇所も視聴できる場所がある)
(ソシテのオーナーの四郎さんはとても親切でした)
結論から言うと、もう手放しに素晴らしい。
ポータブルCDのヘッドフォンジャックから専用アンプに供給されたサウ
ンドとは到底思えない。
女性ボーカルのアカペラとアコースティックのギターやピアノの演奏など
を中心に聞いたのだが、「息づかい」「弾かれた弦」「共振する楽器」など
なんともみずみずしいフレッシュな音が再生された。
正直驚いた。
今までのオーディオ理論はなんだったのか?
ハイファイオーディオの世界のCDデッキなど数百万もする。
電源やケーブルはなんだったのか?
この「Yoshii9」専用アンプと左右のスピーカーで¥315,000(税込)
である。
安い!
今週僕の事務所に納品される「LUXMAN-C9」は約10年前に発売された
中古で38万円というのに。なにせ納品前なので判定はできないが、
定価で350万以上のオーディオでも敵わないのではと途方に暮れている。
(もちろん匹敵する音を鳴らす希望はある。なにせ名機であるマランツの
「CD16-D」から「LUXMAN-C9」そして左右1台づつ「LUXMAN-B10」を配し
この4台を「フルバランス」接続しスピーカーを鳴らすのだから・・・)
そういえば最近の僕の関心のひとつが「アップルTV」を、さらに良い
音質で再生することなのだが、「Yoshii9」に出会うほんのさっきまで
「アップルTV」と「アンプ」の間に高級「D/Aコンバーター」を光端子
で接続などと考えていた。(CECからDA53Nが今年の3月発売される。高級DAC
バーブラウンのPCM1794を内蔵するそうだ)
理論的にはこの方法で音質は向上するはずだ。もちろんデジタルデータは
MP3で圧縮するのではなく「アップルノンレス」でエラー修正を行った
ピュアデジタルデータを用意する。
そんなことを真剣に考えていた。
ところが「Yoshii9」はポータブルCDで「この音」なのだ。
今までの努力はなんだったのだ?
もう何も信じられない。そんな気分になった。
では「Yoshii9」を僕は購入するか?
悩む。正直悩む。
たしかに音はいい。
でも結局は買わないだろう。
価格の問題ではない。
忠実に原音を再生する最終回答としての「Yoshii9」。
本当に最終回答っぽいから「旅」が終わってしまうではないか。
「最高の音」を「至高の音」を追い求める旅が!
お金さえ出せば簡単に手に入るようで「どうも嫌だ」
音楽を楽しむ意外にも
「学んだり」「調べたり」「工夫したり」「作ったり」そんな楽しみが
オーディオにはある。
仮説を検証し、時には喜んだり、時には落胆したり。
僕なりの独自性を捜し求めたいのだ。
そのためなら積極的に苦労したいぐらいだ。
安易な道など求めていない。
なにせ「音の良さ」とは最終的には個人の「好み」なのだから。
これって自己正当化なのだろうか?