825-基本

 

 僕たちは普通に、ビジネスの現場だけに限らずあらゆる場面で、
いわゆる「できる人」を指して「あの人は応用力の高い人だと」使う。

 

 同様に「あいつは基本ができている」と好意的に使う場合でも、
実は自在に応用ができていている様を認め褒めているのである。
 

 

 もしこれが反対で基本はバッチリだけど応用のできない奴は褒めない。

 応用と基本を4マスで分解してみると次のようになる。

 1・基本があり応用ができる人
 2・基本があるが応用のできない人
 3・基本はないが応用のできる人
 4・基本もなく応用もできない人

 こう考えると「基本があり応用もできる人」が求めたいマスであることが
理解できるだろう。

 基本が出たついでに基礎についても少し説明しておきたい。

 実社会では「基本を学ぶ」「基礎を学ぶ」というようにほぼ同義で
使われることが多い反面、「基本的な戦略」とは言っても「基礎的な戦略」
とは言わないように自然と区別して言葉を使っている。

 家やビルの土台を基礎と呼ぶように、基礎とは基本を積むための土台で
あると考えるといいだろう。一般的にある建物を差し「基礎がしっかりして
いる」と使うように、人間も基礎体力・基礎学力がしっかりしている方が
望ましい。

 建築物の場合、基礎の上に建てるのは家や構造物であるが、人間の場合は
基礎の上に基本を建て、その先の応用へと進んでいくと考えるとスッキリ
する。

 また「基礎を固める」と言うように、基礎は固めるもの固まるものであり
一度マスターしてしまえばその後手を加えることは少ないのに対して、
基本は日々新たな状況や変化の中で最新の基本と言うべきものが
生まれている。


 このように基礎と基本はニュアンスだけの違い以上に違うものなのだ。

 ★基本はある日、画期的に変わる。

 だからこそ、新たな基本を学び吸収することが大切である。

 さて「基本の4マス」に話を戻そう。

 基本もなく応用もできてない人は論外として、基本ができても応用でき
ない不器用な人はどうすればいいのだろうか?

 また基本はないのに応用できる人とは現実には存在しているだろうか?

 一種の天才と考えればいるにはいそうだが・・・。

 実際、現実社会では、基本はそこそこに、応用的な場面がまず先に来る
場合も多くある。いわゆるぶっつけ本番的シチュエーションだ。

 その応用である本番を苦労しつつも乗り越えた奴は強い。持って生まれた
才能や運もあるだろう。ただし応用が出来たからといって基礎があるという
ことの証明にはならない。

 そこで本題の応用に進む前に「基本」について考えてみたい。

 「基本が大事」というのは、スポーツから学問または仕事まで全般的に
言えることだ。このことに強烈な異論を唱える人は少ないと思う。

 僕も基本がしっかりしていることは素晴らしいことだと思う。
しかしビジネスにおいても基本はもちろんあるのだが、困ったことに
業種別に多岐にわたっており、ここまで学べば出来れば合格という明快な
ラインも存在していない。

 基本的な能力には、人間として広く一般的にマスターしておくべき能力と
ある特定の職業に必要な基本能力があり。

 一般・特定のそれぞれに基本的な初級レベルと上級者レベルの能力がある
のだ。
 
 どんな能力が基本的かをすべてリスト化すると、相当の種類が
リストアップされる。しかもその各々の能力すべてについて理解のレベルを
判断しる基準の設定など気が遠くなる。

 また実際には、何が出来ればマスターしたと言えるのかの判定はなかなか
難しい。

 ビジネスの世界は学校とは違い、卒業という明確な線引きが存在して
いない。(金儲けのための資格試験や会社都合の昇格試験は断固として意味
が違う)会社の上司から「君は基礎ができてない」とことあるごとに指摘を
受けても「ようやく君も基礎の学びが終了したね」なんて台詞は
永遠に聞くことなどないだろう。

 

  2010年02月02日   岡崎 太郎