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オカザキ講演禄 (2)
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こんにちは、オカザキ・マガジン配信スタッフの井手です。
オカザキが上海出張のため、メルマガの執筆活動ができません。
そこで特別企画と称して、オカザキ講演禄を紹介しています。
今回の講演禄は、6月19日に東京にて講演して内容を、
デメケンの亀田さんが書き起こしていただものを転載いたします。
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■訪問販売の特殊なノウハウ
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CPRですから。CPOじゃないですから。
これは訪問販売の営業マンは大変ですよ。
はずすと、売れないと何を言われるかわかりませんから。
当時はコールセンターでまずアポイントを取ります。
アポを取るとその女性がいい加減なことを言うのですね。僕は福
岡にいるのに鹿児島から電話がかかってきたりするのですね。
そうすると
「近くに指導員さんがいらっしゃいますから」
「今からすぐに行かせます」と。
でも鹿児島まで当時3時間半かかりましたから。で、そのあと10分
ぐらいして電話をかけて、
「今指導員が別なところでご相談を受けているから」
「3時間半後くらいに」と。
自動車を飛ばして行くのですが、当時そういうことをやっていまし
た。全行程が2時間です。お客さんのお宅にお伺いして、呼び鈴を
鳴らしてお客様が出てこられたら、
「クロレラの方からやってきました、指導員の岡崎です」
「こちらに入ってよろしいですか?ありがとうございます。」
と入るわけです。
「あ、すいません」
「ゆっくりとしたところでお話しをしたいので上がっていいですか」
「こちらに靴をおいていいですか」
と言って、と入っていく。
だいたい座る前に20回くらい、ハイと言わせる。
イエスを20回言わせる。人はイエスを20回言い続けると、21回目に
ノーと言えなくなるのですね。そういう迷信があって、それを先輩
から教えられまた。これは女性を口説くときも全部同じだと聞いて
いますが。
そういうふうに訪販にはとても特殊なノウハウがたくさんあります。
一番大切なのはお客様の琴線に触れること。
お客様の感情に触れること。
お客様の感動を呼び起すこと。
先輩はそういう格好良いことを言っていました。
ある日僕が訪問先から帰ってくると、先輩がビールを空けて喜んで
いるのですね。長谷川さんというとっても海千山千のおじさんなの
ですが、このおじさんに「何で機嫌がいいのですか」と。
「俺ね、やっと試すことができた」
「何をですか」
その長谷川さんに大先輩がいて、長谷川さんはその大先輩から常々
聞いていた武勇伝があるのですね。
その武勇伝は何か。
あるとき訪問先に行ったら奥さんがとても落ち込んでいらっしゃる。
「どうしたんですか」。ずっとセールストークをしているけれど、
何かセールスが咬み合わない。おかしいなと思って、そのお客様に
話を聞いたら、実はご主人が亡くなられて、まだ1年ぐらいしかたっ
ていないのだという話になった。
そしたらその大先輩が、ぜひ手を合わさせてくれということで、
仏間に行って、手を合わせて、
「ああ、ご主人何とかでしたんですね」と話をして、ガンだったそ
うです。「ああそうですか」。この話だけで、涙を誘って、自分も
泣いて、お客様と共有をして、一切商品の説明をせずに80万4000円
を売っという、そういう話があった。
長谷川さんはこの話をずっと聞いていて、俺も一度ぜひやりたいと、
俺もタイミングが合えばぜひやりたいと。
それでその日長谷川さんはたまたまお昼の3時くらいに入ったアポが、
ちょうどそういうアポで、
「よし俺は今日は一切商品の説明はしない」
「俺は一切会社の説明はしない」
お客様と涙を共有出来る、
ここだけでものを売ってこようということで、彼はそれに成功しま
した。それで祝杯を挙げていた。
いろいろなことが当時ありました。一番思い出させるのはあるとき
僕がスランプに陥ったのですね。全然売れない。60万円もかけて集
めてきたアポ先に行ったのに全然売れない。
また次にいったら売れない。次に売ったら売れない。トランプに大
富豪というのがありますが、地区によっては大貧民というのがあり
ますが、とても大貧民に近いのですね。訪問販売というのは。
何故かと言うとはずすでしょう。次回ってくるアポイントカードの
内容がどんどん悪くなっていく。
最初はちゃんと喉頭ガンとかスペシャルなやつが来て、売りやすい
んですね。それがあるとき高血圧になり、糖尿病になり、それがあ
るとき顔面神経痛になる、便秘になる。
たまらないですよ、福岡から、全部自腹ですからね。自腹でガソリ
ン代を払って、高速料金代を払って、自分の時間をつぶして往復6
時間半ぐらいの所に行って便秘ですよ。便秘で80万4000円のものを
誘えませんし、まして、行ったらお客様が留守の時もある。
よく考えたら訪販だということでお客が逃げたりするので、
泣きっ面になってしまう。
そうすると沖縄から流れ流れてきた、とてもフィリピン人が好きな
セールスマンでの司さんが、僕に耳打ちしました。
「俺がいいことを教えてやる。ネクタイを変えろ」
「ネクタイですか?」
「お客さんのアポイント先に行く近くで洋服の青山を見つけたら、
すっと車を止めてネクタイを変えろ」。
「そうですか」
「だまされたと思って一度やって見ろ」。
「わかりました」と、洋服の青山があったのでそこでネクタイを変
えて、お客様のところへ行ったら売れたんですよ。
「あっ、俺もこれでスランプ脱出だ」。
で、また次の日にアポイントカードをもらったときに、
「司さん、これは効果は一回限りですか」
「一回しか使えないよ、だから、またネクタイを変えた方が良いよ」
「そうですか」と、またネクタイを変えた。また売れるんです。
で、また次に行った。3回目も効いたのです。
それが4回目に行ったときに、ネクタイがちゃんと変えて行ったのに、
それも6500円くらいネクタイをしめていったのに、売れないんです
ね。すぐに携帯電話で司さんを呼びだして、
「効かねえじゃないか」
「もうネクタイじゃ駄目、ブレザーにしないと」
そんないろんな話があって、僕は訪問販売を正味3ヶ月半ぐらいしか
やっていません。前評判通り、僕は当時22歳で100万円もらっていま
した。
今まで月16万円くらいの生活をしていますから、調子に乗ってしま
って、アウディを買って、アウディを買ったらとばしたくなって、
高速道路をとばしたら捕まってしまって1年免停と。そうすると車は
運転出来ない。訪販の営業マンとしてはほとんど使い物にならない。
それで結婚をしたばかりでとても困りまして、そしたらそこの社長
が拾ってくれたんですね。
「わかった」と、
「これからはキミはぜひコンピューターを覚えてくれ」と。
「そうですか、コンピューターですか、何のために?」。
社長の言うには裏帳簿を付けたいと。
昨日、日経新聞にIBMのシンクバットのノートパソコンが載って
いた。あれだったら税務署が来たらバタッと閉めて、裏口から逃げ
れる。僕のコンピューターの狙いは訪販で裏帳簿を付けるために買
ってもらったノートパソコン。
それで僕は裏帳簿を管理して、某銀行さんに裏通帳を作ってもらっ
て、東日本を東さん、西日本を西さんと二つの口座を作って、東日
本から上前をはねたものを入れて、西日本の上前は西さんに。
これはきれいに税務署にあとでばれるのですが。そういうこともあ
って、その会社に2年半いました。
売ることだけですね。
他のことはまったく何も考えていないですね。お客様の満足度であ
るとか、ロイヤリティであるとか、ブランドであるとか、マーケテ
ィングであるとか、マーケットサイズであるとか、
まったく考えていませんでした。
いかに売るか、いかにお客様に買っていただくか。
全社員150名がその目標を見据えてやる。いかに効率よく金を稼ぐ
か、そんな中に2年半いると心が非常に寂しくなってきて、僕は
もっと違うことをしたいな、平均年齢68歳のマーケティングはや
りたくないな。
当時これは圧倒的にキワ(極)の話です。
80万4000円を売っていた男が考えたのは、極ですから1980円ぐらい
のものを大量に売ることができないか。
それは当時の僕の圧倒的なテーマだったのです。
それを考えていったときに何がいいだろうと。
ここで一つターニングポイントになるような企画が持ち上がり
ました。
<オカザキ講演禄 (3)へつづく>