153-岡本太郎著「太郎にきけ」を読んで

実は岡崎太郎の太郎は、「太陽の塔」の岡本太郎さんから頂いた
ものなんです。
それで最近、岡本さんの著書を読んでるんですが・・・

この本は当時プレイボーイに連載された人生相談をまとめたもの
で、岡本太郎らしい鋭い意見がズバリで気持ちいい。

例えば

「人間はどんなに未熟でも全宇宙をしょって生きてるんだ。」
                    132pより抜粋

ねっ・なんかいいでしょ。

気になった部分を紹介したいと思いますね。

以下抜粋。
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相談:

 生きがいのあるものを見つけたいが・・・今はまだ模索中。

回答:
「今はまだとか、いずれ「また」と言うのが、
              つまらないゴマカシなんだよ。

大切なことは、いま現在の時点なんだ。」

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質問:
たいていどんな人間でも一人くらいは尊敬できる人をもってるも
んでしょ。でも僕はだれも尊敬できないんですが・・・

回答:
そもそも誰を尊敬するとか、尊敬しないって区別はしない。

人生で大切にしたいのは、尊敬より感動。

どんな人であってもある瞬間その人に感動すれば、それがぶつか
り合いであって、ある点を尊敬したから、その人のどこもかしこ
も尊敬するなんて決め込むことは馬鹿げてる。

尊敬する人を、もつのは甘えだと思う。

困難に直面した時、誰さんならこうしただろうと引き合いに出し
てマネしてみたり、これじゃ、自分の意思なんてないじゃない。

それよりも感動というフレッシュな感情に触れて、自分を再発見
してさらに高めていく。この精神的飛躍をしない奴は死んじまっ
た方がいい。

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質問:
「現在の時点で人間は瞬間瞬間を生きていなければ意味が無い」
という激しい生き方はわかりますが、そんなに気張っていると
疲れませんか?

回答:
確かに疲れると言われれば正直疲れるが、そのため夜はぐっすり
熟睡するから朝起きればまた新たな気持ちでがんばれる。

ダラダラ一日過ごしたほうが疲れないように思うけれど、
むしろダラダラしているほうが疲れてしまうんですね。
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質問:
もしもこの世の中から「金」と「名誉」を捨てたら人間はどうな
るんですか?

回答:
    ズバリ答えよう。

      金と名誉を捨てたら人間の「生命」が残るんだ。

つまり人間のほんとうの存在だけが生きる。

社会に生きる人間は金とか名誉というものを考えるから、存在感
を失ってしまうんだ。

金と名誉ほど、人間をだめにさせてしまうものはない。
そんなもののために、あくせく生きるなんて愚劣だ。
金と名誉を否定したところに本当の出発点がある。

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質問:
三つだけ願いをかなえてやると言われたら?

回答:
ひとつだけでいい。それは無限のエネルギーだ。
ぼくはそのエネルギーを爆発させ、すっとばして生きていきたい。
そして無条件にエネルギーをばらまいてみたいな。

>それは成功に関係ありますか?

そんなことなにも関係ないよ。無償・無条件・損得を考えたり、なにかいいものを造ろうなんてケチくさいことは考えない。
欲しいのは、マグマのように噴出するエネルギーだよ。

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他にも
「自分をかばおうとするからかえって不安になるんだ!」

自分を大事にして、かばおう、うまくいこう、傷つきたくない、
そう思うから不安になるんだよ。

もし弱い人間なら「ああ弱いんだ」でいいじゃないか。

自分自身を責めることで慰めごまかしている人が多い。
ありのままで進めば逆に勇気がでてくるじゃないか。

ねっ・いいでしょ。

短い言葉にも気迫と魂が宿ってますね。
元気になれる本です。

ぜひご一読をおすすめします。
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「太郎に訊け」1100円 ISBN4-88379-079-7 青林工藝社

 

  2002年10月29日   岡崎 太郎