157-ピグマリオン効果(思いの大切さ)

156号の感想でこんなメールを頂きました。

 

■Subject: 思いがたいせつなのでは・・・・


思いが大切な気がします。
いかに高度なテクニックであろうと思いがあるものには、
勝てないような気がします。



と、言うことは、いかに優れた演技や演出であっても思いがない
中で行えば、思いが在る中で表現されたものにどれぐらい近づけ
るかを争っているだけのような気がします。

ほんとうに人に感動を与えたり、影響を与えたりできるのは、思
いが前提にあってこそ、その上に乗っかる演技力、表現力、と言
ったテクニックが活きてくるのでは・・・・・・・
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まったくです。僕もそう思います。ありがとうございました。

このメールを頂いて思い出しました。

簡単に言えば「強く信じ続けて行えば、願いは必ずそのとおりに
なる」ということを教えてくれる話です。
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むかーし昔、ギリシャのキプロス島に
彫刻が趣味の「ピグマリオン」という若い王様がいたそうです。

ある時、王様は、すばらしい大理石が手に入ったのでさっそく
「この世の生きた女性を超える、完全な美」を求めて、毎日毎日
一心不乱に彫り続けました。

そして出来上がったその女性の像は、まるで生きているようで、
彼が求めた美を表現しつくした素晴しい像だったそうで、その像
のあんまりの美しさに、「ピグマリオン王」は恋をしてしまい、
彼はまるで「女性の像」が生きているかのように扱ったのです。

花を摘んでは与え、ネックレスをかけて上げたり、夜になればベ
ッドに横たえて彼女を優しく愛したそうです。

王様は、一切の迷いなく、自分の彫った大理石の像を、生命の通
う人間であると信じ続けたのです。

そんなある日、この切ない願いが「愛と美の女神」アフロディテ
の耳に届き、彼の真の愛を知ったアフロディテは、大理石の像に
命を与えたのです。

「アフロディテ」が像に命を吹き込むと、みるみる冷たい大理石
の頬に赤みがさし、しっかりと命が宿ったのです。

「ピグマリオン王」は、歓喜し、彼女をガラテアと名づけ、彼女
への永遠の愛をアフロディテに誓ったのです。やがて二人は結婚
しバフォスという子供も生まれ、いつまでもいつまでも幸福に暮
らしましたとさ。めでたしめでたし。
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となんともハッピーエンドな伝説ですが
日本で言えば「いわしの頭も信心から」となるのでしょうか?

何事も否定的に考えず決め付けず、自分の理想像を念じて前に進
み続ければ、予想を超える「良い成果」が得られますよ」という
心理学でいうところの「ピグマリオン効果」の名前の由来になっ
た伝説です。

つまり・・まず「信じないとあかん」ということです。

つい日常の忙しさにかまけて、忘れがちですが、
「どんな理想や夢を描いていますか?」

「最近いつ真剣に考えたかな?」
本を一冊読むくらいの時間を、自分の中を読む事にかけても
いいんじゃないかな・・・・・

マイナスの固定観念や先入観を持つのは上手なくせに・・・・
プラス思考状態を安定させるのは、難しいですもんね。(笑)

僕たちは、マイナスの先入観は意識しなくとも、いつも心に現わ
れ・ほっとけばすぐ心の真ん中に、陣取らせてしまうのに、理想
や夢や信念といったものを、持ち続ける事はなかなか維持できな
いもんですよね。

まぁ維持するもなにも、そもそも「やりたい事・したい事・信念
・思い・理想・夢」これがなければ、はじまりません。

まずは、はっきりさせる事です。

そして、その次のステップとして・・・
「思い」があれば、第三者への勝手な願望であっても思い続けれ
かならず現実化する。心から信じて願い、存分に期待し、まさに
そうなったように振舞えば、必ず望むよい結果が興るもんだとい
うことを信じるのです。

これを信じきれるか・どうかなんだけどな・・・

これは他者概念が、ある現実を作り出す例だと考えるならば、
かなり宗教的でもあり哲学的でもあるんですが、なんか怪しい?

ちょっとちょっと誤解しないでくださいね。

そもそも「ピグマリオン効果」とは、教育心理学で広く使われて
るものですから。

対人行動の世界的権威でハーバード大学のローゼンソール教授に
よって提唱されたもので、この人の名前をとってローゼンソール
効果とも言います。

先生の心構えについてなんですが。

この生徒は必ず「成績が良くなる」と無限の可能性を信じきった
教師であれば、知らず知らず見えない形で(信頼関係など)で
伝わり、あるとき考えられないほど高い結果を生徒にもたらす。

しかし逆に、「駄目だ」とあきらめる思いで接していれば、例え
いくら言葉で褒めたとしても、本来伸びるはずの可能性の芽を摘
み取る事も在る。

という子供の将来への可能性を信じる思い、信頼が大事かを教えてくれる話なんです。

ただ誉めれば言いという簡単な話ではないのです。


 

  2002年11月08日   岡崎 太郎