161-岡崎講演禄・DMの企画を考える

こんにちは、オカザキ・マカジン配信スタッフの井手です。
今週は、岡崎が東京出張ためメルマガの執筆ができませんので
代わりに岡崎の講演禄を配信させて頂きます。

先日、郵便局さん主催のDMセミナーで講演させて頂いた
DMの企画を考えるというテーマです。

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DMの効果、購入・来店の反響結果を左右する物は何か?

(1)商品 ・どんな商品・製品・サービスを販売するのか?
(2)広告 ・どういう表現・特典・といった作戦で販売するのか?
(3)リスト・どこのどんなだれに、告知をするのか?

この三つが相絡まってお客様にDMとして行くわけですが・・・・


どれが一番重要だと思いますか?

(1)商品が70%だと思う方?
(2)表現・広告の中身が70%だと思う方。
(3)リストが70%だと思う方
(4)いやいや全部同じと思う方?


ご自身で考えてもらって、
僕はこう思う、会社はどう思うか?社長はどう思うか?
会社全体はそういう動きになっているか?という事を一緒に考えて
貰いたいんですね。

なぜなら、
僕のセミナーに来られる方はだいたいご質問されるのは(3)です。

「表現・広告の中身を岡崎さんどうしたらいいんですか?」

それで、僕の話もついつい(3)について話してしまいます。

どういう風に訴求をしたらいいのか?
どういうキャッチコピーを作ったらいいのか?
どういう本文にしたらいいのか?どういう写真を撮ったらいいのか?
どういうデザインで、どういうて体裁で、
ハガキと封筒どっちにしたらいいのか?

すぐこういう話になるんですけども、

やっぱりよくよく考えてみると、リストですね。
出すお客様とのマッチが悪いと、パーセンテージが下がります。

この辺を紐解いてお話しようと思います。


DMの成功は詰まるところ、売上ですから
そもそもリストが駄目だと全然駄目なんです。

もちろん、デザインやコピーが良いに越した事はないです。

でもまず、DMを出すとなった時に必要なものは、
現時点で、手元にリストがあるかどうかがまず大事です。

持たれてるデータベースに当然DMは打っていきます。
DMは、打てば打つほどリストが疲労していきます。

そして、常に新規のお客さんを取り込んで行かなければ、
いつか反響は最悪になって行くんです。


よく「揺り籠から墓場まで」とか言われているコンサルの方とか
いますけど

今のこの日本で子供のころからずっと同じ物同じブランドを
買い続けている人なんてもういませんよね。

ブランドチェンジとはささやかな冒険で、消費を楽しむ一つの要素
なんです。まぁ椅子取り合戦みたいなもんですよね。

ですから、常に新しいお客さんを取っていかないといけない。
こんな事、言われなくても分かってますよね。

つまり新規を獲得することを止めると会社は終わるわけです。


DMを出す時に、リストが無い。
リストが無いから集めないといけない。

この時、良く使われる手段が、折り込みです。


折り込みチラシをまず打って、見込みがありそうなお客様から何ら
かの反響を得る。これちょっと言葉分かりにくいんですが、

要は、顧客リストが集まるということですね。

問題はこの顧客リストを集める所なんですけども。
いくつか方法があります。

そのまま商品を売る
無料サンプルを送る
役に立つ無料の冊子を送る
イベントで来店させる

こういった方法がありますが、大きく分けると2つです。

買ったか買ってないか。つまり購入客か見込客か。

2段階ってわかりますか?
これをよく、2ステップと呼ばれていますが。
2段階型、2段階でお客様に最終的に商品を買って頂く。

よくある化粧品の無料サンプル作戦はわかりやすいツーステップです。
「無料サンプルお届けします。」です。

ちなみに、私がお世話になっている化粧品の通信販売会社はワンステ
ップです。初回からダイレクトに販売します。

B4の折り込みチラシ両面を見て頂いて、お客様が注文しようと思ったら注文するんです。


この2ステップとても、うまく行きそうな話に聞こえるんですね。

B4のチラシをまいて、お客様が生まれて初めて手にしたチラシを見て
フリーダイヤルに電話して何々が欲しいんですけどって

電話してくれるお客様は天文学的に少ないような気がしますよね。

だからまず、お客様の入り口の階段を低くして、
2ステップでいきませんか?

無料サンプルで。 なるほど!そうか!

まず、無料サンプルチラシから反響のあったお客様に、
DMだったり、電話でセールスをかけていけばいいんだ。


でも、この話には数字が入っていません。

どこに、折り込みチラシを何枚撒いて、何件電話があって、
無料サンプルを何個出して、無料サンプルからの本製品の
引き上げがどのくらいなのか?

この数字が入ってないんです。


この数字が入ってないから、正しいのか正しくないのか、
結果がどうなのか分からないという事です。

ちょっとここ数字入れてみましょう。
グッと現実感が増します。


まずマス広告って
折り込みチラシ・TV・ラジオ・新聞本誌・インターネット・
まぁいろいろあるんですけども・・・・

今日は、分かりやすく「オリコミ」で考えてみたいと思います。

コストがハッキリしてますからね。
全国だいたいどこでやっても1枚3円なんですね。

TVや雑誌は人間関係なんかで値切れば値段が変わるといった事が
ありますから。


福岡県世帯数    1,89万世帯  
総人員   490万人 事業社数 253,276社 
西日本新聞   846,707部  総発行部数 200万部


西日本新聞846,707部 の内、福岡都市部418,441部
(部数は2002年4月ABC発表)の75%=約30万件に
折込をしたと考えましょう。

ここの所に、75%と書いてますが、折込の部数というのは、
ちょっと吹かしてる所がありますから、だいたい70%~80%
ぐらいで下に見積もってチラシを入れて下さい。
実部数より実際の配布数は少ないんです。
だから、ちょっと少なめに折込部数は設定しましょうね。


印刷代3円と折込コスト3円で計6円×30万枚で180万。

この180万に対して、
何を販売するのか特典や広告の作り方にもよりますが・・・


反響ってどのくらいかというと

だいたい、どんなに良くても0.1%です。300件

たった、0.1%ですよ。つまり一件獲得コストは6000円です。
恐ろしいですね。

買ってくれた、購入いただいたお客様を一人獲得するために掛かった
コストをCPOといいます。

総経費÷獲得人員=CPO


ちなみに、無料サンプルやTVの連動(メディアミックス)でも
0.2%程度です。10倍にはなりません。

ちなみにTVの放映コストがかかっているわけですからコストは
高くついてしまいます。

実売の反響で大成功の平均数字 0.1%を越える事はめったにあり
ません。

2ステップの場合0.2%ですから、サンプルで名簿を作って、

その後注文率が50%以上でないと
ワンステップより結果は悪くなるわけです。


福岡で30万部折込を入れて、仮に0.1%だの、0.2%でもいいんですけど
これで数字が出てくると、売上が算出できますよね。

たとえば平均販売単価が12000円で原価は50%だと仮定します。
原価には商品代の他・電話のコストや送料もいれてるとしましょう。

すると広告コストが6000円ですから「とんとん」です。


しかし、今の通信販売で12000円の商品を一発で売ってる会社は
ほとんど有りません。
ちなみに、私がお世話になっている会社も5000円ぐらいです。

という事で、販売単価が5000円であれば、
たとえ原価がゼロでも会社として赤字なんです。

だから、どっちにしてもリピート戦略を走らさなければ儲かりませ
んね。

という理由でたぶん今日来られてる方の所で、そんなに2ステップ
2段階戦略というのが、上手く行く様な気がしません。

しかし180万の経費をかけて、
たった300件では、スケールメリットが出ないんです。

つまり、次のDMが作れないんですよ。

1800万かけて3000件獲得します?
300枚のDMを格安で作る方法を考える?

何回かに分けてリストをためればいいじゃないかと考えるかもしれ
ませんが、リストは鮮度が命ですから、あんまりチマチマしてたら
DMの効果がさらに下がりますからね。


とにかく、ツーステップは場合によっては意味が無いなぁと
僕は思うんです。なので、今現状やられてるリストの取り方をもう
一度検討されるのがいいと思います。

お店で対面販売対面サービスやってれば、ポイントカードでちゃん
とリストを集める。

どうですか、お店でお客の名前や住所のデータが取れて
DMリストに使えるとしたら、素晴らしいことではないですか?

オリコミで反響0.1%だと、コストが6000円ですよ。
1人のお客様を獲得するのにかかるコストが6000円ですよ。

つまり、1人のお客さんのデータを店頭などで得ることができたら、
6000円が浮くんですよ。

これがデータの価値なんです。お金だと思ってください。

スタッフがお客様からポイントカードの申し込み書を書いて貰って
きたら6000円と同じですよ。もし購入顧客のデータを1000件もって
いれば600万の価値があるんです。

店員さんやスタッフの方にそこを理解してもらわないといけない。

DMを打つリストを集めるためにコストをかけては儲からないんで
すよ。今の顧客リストを大事にしないといけない。

営業の方なんかも、営業先で名刺を貰いますよね。
そういった、一人一人のデータの管理をしっかりしないといけない
んです。でも、営業の方がそれぞれバラバラに管理している。
こういった事を疎かにしてるケースが非常に多いと思うんです。

それから、通信販売の会社でも顧客データの扱いがズサンな事にな
っている会社が多いです。

ひとごとじゃなくて、ちゃんと見直してください。

ちなみに、通信販売に限った事で言わせてもらえば、0.1%取れれば
大儲けできます。0.1%あれば、商品の販売価格にもよりますが、銀
行さんにでも行ってお金を借りてまで博打を打った方がいいです。

通信販売をやってきた私からすると、0.1%というのは、合格点です。
でも、普通の通信販売をやってない方から見ると、
0.1%で残りの999人はどこに行ったのかなぁといった話になって来る
と思います。

しかし 広告効果の基準は0.1%なんで0.1%だけ考えてくださ
い。

しかし、通販会社は、
0.1%反響があればお金を借りてでもやると話しましたが、
それはリピートで回せる自信が有るから言ってるんです。
つまりリピート戦略が組めていないと0.1%とという
高い反響があってもドブに捨てる様なもんなんですよ。

しかしリピート戦略を実行するには、整備しなきゃいけない事がたく
さんあるんです。

どんな商品がいいのか?リピートの引き上げ率は?
売り方はどうするのか?商品原価の交渉?
顧客管理のソフトは?コールセンターは?
流通は?代金の決済は?    
などなど、やんなきゃいけない事が300項目ぐらいあるんです。

ノウハウや経験がないからって、いちいちテストしてたのでは、
資金がたくさんあっても危なっかしくてしょうがないし、検証し
ようにも・・・だいたいどこがよくて悪いかが分りにくいんです。

だからノウハウが出来るまでは、小さく小さくテストを繰り返さ
ないといけません。

間違っても一発勝負はやめましょうね。


 

  2002年11月21日   岡崎 太郎