この言葉の意味には、いくつかの示唆が含まれているが一番大
き考えは、生産者の都合を捨て、消費者の欲求を中心に考え、生
産者の好みやコダワリ・主張は抑制すべきといった論だろう。
しかし、周りを見渡せば、職人気質バリバリでコダワリにコダ
ワッタ商品が成功している。
あきらかに生産者志向である商品の方が売れているように思える
のはナゼだろう?
生産者であるメーカーの開発者が自分の欲しい商品を追求した
結果、その商品に込めた「想い」が消費者に受け入れられている
とは考えられないだろうか?
無農薬の野菜や低ホルムアルデヒドな家具や住宅にソニーのア
イボや高級オーディオなどなど、市場は限定的であっても、その
隠しても隠し切れない、込められた意思を感じる商品に消費者は
きちんと反応しているのではないだろうか。
そしてその志向は、生産者だとか消費者だ、などの垣根を越え
てしまっているのではなかろうか。
まして没個性な大量消費商品にはマネの出来ない、職人気質が
息づいた「素敵な商品」には、開発までの物語が必ずある。
消費者はこの固有の物語に欲求を喚起されているのだろう。
そのために生産者は、圧倒的に消費者を越えた消費者でないと
いけない。つまり優れた生産者は優れた消費者という考え方だ。
所詮、いち消費者は消費者であり、生産者はその道のプロフ
ェッショナルであるべきなのだ。
安易な消費者志向は命取りになりかねない。
安易に消費者の要望、好みをヒアリングして設計された商品は
没個性甚だしい製品に成り下がってしまう。
だから、まず生産者の「想い」「コダワリ」があり、プラス
「消費者の好み」にそった商品紹介の表現やネーミング・パッケ
ージといった順番で開発にあたってみるというのはどうだろう。
当然だけれども生産者は消費者よりも製品についての隅から隅
までの事を知っている。当然、消費者の気持ちも知っているはず
である。しかし浅はかな消費者の理解は所詮、現時点の物であっ
て使い込んで行くうちに発生するであろう問題等は、消費者は知
るすべもない。
その限定的な理解しかもたない消費者の意見に惑わされるべきで
はないのだ。
料理の鉄人である道場六三郎に、一般家庭の奥さんが味につい
て指示を出すような物である。生産者は圧倒的なカリスマで望む
べきで、消費者に迎合すべきではない。
狭い市場でのニッチな攻防の話であるが、その再設定された
新しい市場のドメインをどう広げ、最大公約数を獲るのかが勝負
なわけですが、正確な市場の母数を確認しようも無い中、予定ど
うりに事は運ぶわけもないわけで、潜在的な市場をどう喚起し健
在化させるのかに知恵を使わなければいけないのではと思うので
す。
そう考えなければ、斬新な切り口でかつ消費者に歓声をもって
受けいれられる製品は開発できないだろう。
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母親と2人で再出発始めるのも、1年半後に母親が過労でお亡
くなり、高校を中退して単身上京、スーパー店員・書籍セール
スマン・自衛官・警備員を経て福岡で独立の準備をする。
24歳の時裸一貫で警備保障会社を創業。売上不振や保証人倒れ
で倒産寸前の危機を何度も乗り越え、現在では完全無借金の優
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