292-クレームを言えない顧客

 

僕はクレームを堂々と言えるタイプだとおもっていたのだが
昨晩起きた事故についてクレームを言えなかった。 

 心を落ち着ける意味でも少し整理したいと思う。

 

 夜中の2時にどうしても「うどん」が食べたくて博多で24時間
営業のうどん屋さんWへ。ほんとは「ごぼう天ぷら」をトッピン
グに選びたかったが、現在リバウンド中であることが頭によぎる。
「わかめ」にしようと思ったが、結局中間で「まる天」に決めた。

 さて、注文をしようとすると店員がいない。

 「すいませーん・・・注文いいですか?」

 なんの返事も返ってこない。 

 すると奥から、やる気の欠片も感じれない、どうみてもバイト
君と年は40半ばだけれど、これまた正社員には見えないオジさん
の二人が顔を出して、結局若い方が注文を聞きにきた。

 「まる天を」「はい」淡白なやり取りで終わる。

 まぁ深夜であるし、一杯数百円のうどんにサービスの質は
求めていないので、僕の感情が高ぶることはない。


 待つこと数分。博多の大歓楽街中州が近いこともあってか
お店帰りのお姉さんが多いなぁなんて思いながらも
「ただのうどんにしては待たせるな?」と思って数分後。

「へいおまち」直径18cmはあろうかという「巨大まる天」がのっ
た「うどん」がテーブルに置かれた。

 トッピングの「まる天」以外は「麺」と博多風の透明で黄金色
のスープのみシンプルだなぁと思いながら、ネギと唐辛子は遠慮
して、そのままさっそく食べる事に。割り箸を割って、まずは
「まる天」からと箸で持ち上げて、かぶりつくと!

 「アッツ!!!アチチチィ」

 一瞬何が起こったのか????ですよ。
すぐに上唇の上鼻の下が火傷でヒリヒリしてきた。

 原因は、この「まる天」なんと揚げたてなんです。

 確かに「かき揚げ・えび天」等は揚げたてとは聞いていたけれ
どまさか「まる天」までとは・・・・

 この「まる天の皮」はごく薄その表面を100度を超える油が覆
っているわけで口につけた瞬間、バチバチッと跳ねたもんだから
最悪ですよ。

 かき揚げやえび天が熱くても対処のしようがあるけれど・・・
しかも、このまる天は特大サイズときている。

 とりあえず事態を理解して落ち着いた僕は、店員がなぜ
一言注意してくれなかったのか?と怒りが沸いてきた。

 ファミレスでステーキを注文すると、「鉄板が熱くなっていま
すから」と言われ、ドリアを注文すると「チーズが熱くなってま
すから」と言われる。

 なのになぜ、このうどん屋は注意を喚起しなかったのだろうか?

 ステーキの場合でもドリアの場合でも注意された割に、試して
みると意外に熱くなくて拍子抜けした経験があるが、危ないとい
う事を伝えるのは大事である。

 確かに僕の注意不足だった。車の運転で言えば脇見運転だった
かもしれない。しかし事は「うどん」だ。

 リラックスして食べて何が悪い。

 とりあえず洗面所に行って鏡で患部を確認した。
まッ赤になった上、少しだけだけど水脹れが数箇所確認できる。
どうしたもんだろうか。


 さて本題です。


 こんな状況であるのに、僕はなぜクレームが言えなかったので
しょうか?

 理由は、ここの店員に文句をいっても余計に怒りがヒートアッ
プしそうだから。言葉でいくら「申し訳ありません」と言われて
も心では「この人ほんと熱かったんだろうな」なんて思われてい
ると思うと癪にさわるではないか。

 しかもたかだか数百円の事に怒りをむき出して抗議している姿
はみっともないものであるし大の大人が深夜にする事ではない。

 ほんとに怒りの絶頂であるなら二度とその店に行かなければい
いのである。

 これは店員のサービスや味に内装や清掃状態へのクレームにし
てもそうである。

 だからこそ足の遠のいたお客様を注意しなければいけないので
ある。また顧客視点でサービスを組み立てるために、実際に顧客
になってみる作業をすることが大切なのです。

 僕みたいに思って文句のひとつも言えない人が多いのではない
だろうか?

 しかし、このうどん屋さんの味はなかなかおいしいのである。
しかもお店の場所もなかなか便利なところにあるのである。

 飲食店の価値とは結局「味」に収斂されるのであるなぁと
深く思った次第なのだが。

 勘定をしようとレジでお金を払う際、目に入った店内POPに
当店では、揚げたての天ぷらを提供しています。感動ですと誇ら
しげに書かれている。なにやら、天ぷら責任者という担当までい
るらしい。

 この誇らしげな態度に余計に逆なでされる思いだった

 

  2004年01月21日   岡崎 太郎