297-髪型

「自分の顔に責任を持て」とは、よく言ったものだ。

年齢を重ね、体験を重ね、人との摩擦の末、身についた考え方
や品格に常識を含めた全人格が顔に表れるという事は理解できる。



 

 肌の血色、瞳の輝き、歯の白さ、皺、まなざし、鼻毛の処理
(とくにニカッと笑った際に、奥ゆかしく覗く程度はかわいいけ
れど、束で主張されると目のやり場に困る)

 それどころか、その鋼のような鼻毛に意識が集中してしまい、
もう商談どころでは無い。

 このように無頓着な方は、ぜひとも自宅の玄関を出る前に
「身嗜みチェック」を実施していただきたいものだけど、その前
に「顔」は公共にさらされている意識が欠如していると思われる
ので気付いた人が教えてあげましょう。

 余談が過ぎましたが、つまり顔には現在の健康状態や精神状態
そして考え方や価値観が表れてしまうという事、さまざまな因果
の結晶なのですね。

 最近、自分の頭髪も前の方から、ずいぶん寂しくなってきた。
ほんの数年前は「そこには森があった」であるとか「砂漠化だよ
」なんて冗談を言ったものだが、最近はあまりにも自虐的で冗談
にもならないので、後数年もすれば、離れ小島が出来そうな勢い
で侵攻きそうだ。

 しかし薄毛であっても素敵な男性はたくさんいる。

 ブルースウィリスやニコラスケイジを代表に海外の映画俳優に
は薄毛でも立派にセクシーな男性を演じている。

 ここで僕が問題にしたいのは、「隠すな」という事である。


「隠す心理」の裏に何があるのか?

 堂々と禿げを肯定しポジティブな自分のスタイルを確立すべき
だと常々考えている。かなり貧相になった髪を広大な更地に無理
に広げたバーコードヘアを固持するその意味が理解出来ない。

 どうしても脂ぎってしまっている髪や頭皮は絶対不人気。

「なぜ坊主にしない!」

「そうまでして禿げを偽りたいのか?」

 であるならカツラでも増毛でも施すべきだ。接する他者に不要
な気遣いをさせていることを想像できないのだろうか?

 少し過敏に反応していますが、整理すると他人に見られている
自覚があるから不自然な髪型になるわけだが、隠すことではクリ
アできない。隠したいAを直接隠したとしても、解決にはならな
い。所詮マイナスがゼロになる程度だ。

 マイナスは他方の有り余るプラスでカバーすべし。

 真の解決された状態とは、問題に対処することさえ忘れた状態
つまり問題の無い状態なわけで「あれっ?ところで問題は何だっ
たのでしょうか?」という、とぼけた状態であるわけだから、
対処している状態は真の解決からほど遠い状態なのである。

 髪の多い少ないは問題ではない。


 
  2004年02月07日   岡崎 太郎