302-付加価値を考える

 

経済学的な付加価値の定義とは?

 難しいので例を説明します。

 

家具メーカーが材料である木材を60万円で仕入れて、タンスを
生産し、製品であるタンスを100万円で販売したとします。

 
 全部売れたと仮定すると「付加価値」は、タンスの販売総額
100万円から仕入れ60万円を差し引いた40万円となります。

 次に、このタンスが不良在庫化してしまい、仕入れが60万円な
のに損切で50万円で販売してしまうと、10万円の赤字になってし
まいます。

 つまり付加価値はマイナス10万円となります。

 わかりやすく説明するために極めて単純に書きましたが、経済
学の教科書における「付加価値」の定義は

「企業の生産主体が生産活動によって作り出す生産物の産出総額
から、その生産主体が他の企業(他の生産主体)から購入した原材
料、燃料、中間生産物などの全ての中間投入額を差引いたモノ」

とされています。

 要約すれば「付加価値」とは、売上高から外部購入価値を差し
引いた額ということですね。

 しかし厳密にいえば、 外部購入価値として繰入れる範囲をど
こまでにするかは、いくつかの考え方があります。

 文字どおりに受け取れば「外部購入価値」とは外部から買った
合計金額ですからレンタルやリース設備など、借りているものは
勘定には入れません。

 一番狭い範囲の定義は、材料費・仕入商品代、外注加工賃、消
耗部材費、動力や燃料費までを外部購入価値とする場合で、付加
価値は最も大きくなります。これを「粗付加価値」と呼びます。

 二番目は、上記の「粗付加価値」に「諸経費」を加えたものを
外部購入価値と定義する場合で、この定義を使う場合がほとんど
で、ちなみに日銀方式の付加価値計算もこの定義です。

 この場合は、シンプルに「付加価値」と呼ばれています。

 最後に、この「付加価値」に「減価償却費」までを加える場合
が最も広い定義となります。この場合の付加価値は他の定義に比
べて最小になり、この定義を「純付加価値」と呼びます。

 通常は二番目の定義が一般的に使われています。
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■さて稼いだ付加価値は、何に使われるのでしょう?

 まず一番大きなものは人件費です。それ以外には固定費に支払
われます。ですから、もし賃金の水準を高くするには、付加価値
を大きくしなければなりません。

 この件から、「企業は付加価値を創出しなければならない」と
なっています。

■付加価値の稼ぎ方

 まず多いのは、資本を投下が重たい設備集約的で銀行借入利息
・リース料・減価償却費などが大きい会社です。

 オペレーションが機械化されていますから社員数は少ないので
すが、その分多くの設備が必要です。

 次にローラー作戦的に大勢の営業を投入するなどして、人海戦
術で人件費をたらふく掛けて付加価値を稼ぐタイプです。

 つまり労働集約型の産業ですが、これは単純な組立などの単純
労働依存(人件費の問題で簡単に海外に流出する仕事)、それより
は高度な技術が必要な技能労働依存、最後にデザインや研究、シ
ステム開発やコンサルティングなどの労働が知的労働依存という
ように分類されます。

 付加価値を生み出す源泉は何か?この視点で企業を見れば
知的労働依存の会社かどうかがポイントということになる。

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■まとめ

[付加価値]とは、生産活動(人件費を含む)によって付加される。

 付加価値を言い換えれば、お客様にとっての「使用価値」があ
るかどうかであり、その価値があればお金を支払ってもらえるの
です。
 
 ●ポイント>「使用価値」または「効用」を付加する。


 付加価値とは、お客様の本質的なニーズのポイントを正確につ
かみ、上手にパッケージとして昇華させた商品に宿る価値と考え
ます。

 ここでいうパッケージとは、化粧箱のことではありません。

 たしかに、まるで高級な吟醸酒のような金箔を施した化粧箱や
重厚な桐の小箱に収まった金キャップの精力剤など華美な包装に
本来の商品以上の価値を感じてしまう消費者も多いかもしれませ
んね。
 
 ではその対極は何でしょう?

 ひとつは無印良品のように、簡易包装でシンプルを強調した商
品展開でしょう、また田舎の路面店で売られている、無農薬自然
農法で育てられた農作物ではないでしょうか?

 いずれも、その本質は商品に込められたシンプルライフという
提案なわけで僕は、こちらの提案の方が好きな付加価値のあるべ
き姿と感じています。


 ではサービスにおける付加価値とは?

1「同じサービスであれば、ローコストを実現できる」
2「同じコストならば、より良いサービスが期待できる」
3「この高いサービスレベルであれば、もっとお金を払いたい」

 さてあなたは、何番目を選びますか?


 利便性が高く、よりコストの安い事業者へ、お客様は流れるの
が世の中の流れだけど、価値を上げて、コストが安くなるために
は、それ以外の何かを削りシェイプしなければ実現できない。

 つまり選択と集中の結果でしか成しえないのです。
(選択した価値を高次元に昇華させることが重要です)

 お客様は、商品であれサービスであれ、その高次元に磨かれた
価値に引きつけられ感動し購入するのです。

 ぜひ社員全員で「付加価値」について話し合ってください。
きっと新しい発見があるはずです。

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このメルマガ誌面を借りて、おこぼれ話では ガーリーが出会っ
た素敵な人々を数々取り上げてきました。

過去にも、何度かご紹介してしたことがある

福一不動産の古川隆(ふるかわ・たかし)社長。

福一不動産(通称:フクイチ)は、西日本一の歓楽街(つまり夜
の街)である、中洲に営業エリアを限定し、実績をぐんぐん伸ば
してきました。

1998年 1200万 → 1999年 2700万 → 2000年 4500万 →
2001年 6000万 → 2002年 8000万 → 2003年 9500万

フクイチさんは、弱者の不動産さんですが、エリアと商品を限定
することで、今では中洲エリアの70%から80%の物件を取り扱っ
ています。

つまり、地域ナンバーワンな不動産なわけです。


フクイチの古川社長との出会いは

「逆転バカ社長」を執筆された栢野さんが主催している
九州ベンチャー大学のゲスト講師(第108回2002年3月)の時に、
たまたま足を運んで、話を聞いたのがきっかけでした。

次の日

講演で話していた事をもっと詳しく聞きたくて、フクイチさんに
連絡しました。

普段は忙しいので事務所に不在がちですが、ちょうどその時は、
古川社長本人に繋がちゃって

「よろしかったら、お昼をご一緒していただけませんか?」

と言ったら

古川社長「いいよぉ」と、気分よく早速会ってくれました。


いやぁー この日のことは、今でも忘れられませんね。

「井手くんの名刺、これじゃダメだよ。もっとPRしないと」
「イラスト付きオリジナル・ハガキのお礼状が伝わるよ」
「フクイチでは、見込みのお客さまが来店してくれたら
 
 ・電話、FAX、メール、はがき → 各0.5ポイント
 ・直接会う           →  1 ポイント
  
 これを決められた期間に、必ず5ポイントをカウントする
 ように営業するんだ」

などなど、古川社長のレクチャーが次から次へと。
いくら僕が同業者じゃないにしても、ここまで自社での取り組み
を教えてくれるとは、かなり驚きました。

「いいだよ、こんなこと真似しても。べつに、隠す必要もないし
 それに、ぼくも教えてもらってマネしてることだからね」

なんて、照れくさそうな表情の古川社長。

それ以来、仕事とは関係ないけど
とにかく古川社長の会うきっかけが欲しくて

「こんな、名刺つくりました」
「まねてオリジナル・ハガキつくちゃいました」

と、古川社長との接点を作ってきました。

ある時、古川社長が

「不動産業界は、高価な商品を販売するのに、物件を売ったら
 おしまいなんて、あたりまえの世界。お客様と向き合ってい
 るようで、全然向き合っていない業界。

 中洲エリアの地域で、ナンバーワンの不動産になったからと
 いって、じゃ今度は他のエリアに限定した営業活動なんて、
 全く考えていないよ。

 フクイチは、中洲という地域とその地域の人たちにお世話に
 なって、ここまで大きくしてもらったからには

 中洲という街をもっともっと活性化したい。

 じゃないと、中洲に遊びにくるお客様が減って、中洲で営業
 しているお店が繁盛しないし、中洲で自分のお店をオープン
 したいという人たちが減ってしまう。

 そうなると結果的に、不動産物件の取引が減少する。

 だから、中洲で開店しているお店が繁盛してくれないと意味
 がない。」


この話を聞いたときは、『すげぇー』と感心しました。

地域でナンバーワンになったら、じゃ次のエリアへ展開する。
よくありがちな話。

しかし中州エリアでフクイチが出来ることが、まだまだある。

「だって、中洲を日本一の歓楽街にしたいのが、僕の夢なんだ」

なんて真顔でいう古川社長。
ちょっと、おおげさかもしれないけど この視野は見習わないと
いけない。

しかもフクイチさん、言葉だけでなく

自分達が、開店に携わった、スナック・飲食店さんが繁盛する
ために、独自で勉強会を開催したり、自社で発行しているニュ
ースレターに取り上げたりと

集客・接客へのアドバイスを定期的に何年も継続し、物件の契
約が決まったあとのファローに、力を入れています。


地域の小さな福一不動産が始めた、大げさな日本一への挑戦

「中洲繁盛プロジェクト」に奮闘する

古川隆(ふるかわ・たかし)の心意気をご覧ください。
http://2912103.co.jp/merumaga/furukawa01.htm

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  2004年03月02日   岡崎 太郎