そもそも僕の通販原体験は、月刊ジャンプの裏表紙にギッシリ 雑然と並べられた、少年向けグッズの通信販売広告だった。 商品は、ボクシンググローブ付きサンドバック・エアガン・ヌ ンチャク・格闘技やアイドルのポスター・身長の伸びるスニーカ ー等、ひと癖もふた癖もある雑貨が多かったのだが、そのなんと も軽く信憑性の欠けたコピーに「ホンマかいな?」と想いながら も胸躍らせたものである。 |
まぁマニアとまで言わずとも、男心をくすぐる商品群のてんこ
もりだった訳だが、そんな僕が大人になって通販ビジネスに関わ
っているのも不思議な縁を感じる。
思い出してみると、前会社では海草原肥石鹸という中国産の痩
せる石鹸や塗ったら痩せるクリームに当時パフィー全盛の頃、そ
のヘアスタイルを作るのに必要だったワッフルアイロン等、先述
の通販原体験を世襲した内容の商品を結構やったもんだ。
しかし今考えるとなんとも浅はかな事に精を出したもんだ。
儲かればいいという発想はなかったけれど、時代の風を読み、
最速で商品を揃え、広告で稼ぐことに、なんともビジネスのスリ
ルとスピード感を醍醐味だと感じていた。
売れれば、さすが俺様が企画したのだからとご満悦。
単純に売れると楽しかった。
だけどブームの逃げ足は早く、逃げ時を間違えば不良在庫の山
になりかねない。そんな博打のような商売を2年も続けていると
一番肝心のアンテナの感度、つまり消費者感覚との差が生まれる。
これは致命的なことで、先を行き過ぎても、遅れても駄目。
消費者との距離感は半歩先くらいが調度いい。
少しづつだけど、そのズレを感じていた。だんだん当たる確立
が落ちてきている。次々に企画はするけれど、失敗続き。おかげ
で最初は、チビチビテストする大切さと手法を覚えてけれど。
とにかく、そんな感じだったけれど、たまたま運がよかったの
で大きな痛い目には合わなかったのが幸いだった。
通販をはじめて丸々10年が過ぎた。あっという間だが、まぁ
それなりの時間だと思う。この時間の中で僕はそれなりに賢くな
った。
だけど失くしたものはなんだろう?
「いきおい」は、どうだろう?
人脈が増えた分、仕事は早く効率もよくなった。
しかし「勢い度」は40%ダウンだと思う。
どうやら、いろいろ知りすぎてしまった気がする。人間知りす
ぎると上手く動けなくなる。過去の失敗や経験が邪魔をするから
だ。しかし所詮前回は前回なのだ。
今回は今回で新たに、やってみないとわからない事はたくさん
ある。奇跡もあれば、偶然もある。
だから賢くなりすぎると、人生は面白くない。
チャレンジを忘れてはいけない。あまりにも当り前では面白く
ない。もっと「キテレツ」で「ヘンテコ」で誰が買うの?といわ
れるような商品でも「日本発」でも!「おもしろそう!」という
ワクワク感を感じるセンサーを曇らせてはいけない。
もっと直観で動けたはずだ!
しかし知ってしまったもんは仕方がない。直観を再度信じつつ
「いきおい」を取り戻せるよう意識するしかない。
日々反省。
原体験を思い出してワクワク感のスイッチを入れなきゃ!
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