466-麹町の奇跡

 

 宝島の田村さんに携帯をすると「あっ太郎さん。どうも」と
元気な声が答えた。

 

「実は東京FMで収録があってさ。今麹町2丁目なんだけど」

「そうなんですか!僕も今ちょうど打ち合わせが終わったとこな
んでお茶でもしますか?」

 福岡から東京に来てるという理由に気を使っているのだろう。
月刊誌を担当していると暇などあるはずない。

 僕は恐縮しながらダイヤモンドホテルのカフェで待ち合わせを
する。

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 この季節は風が気持ちがよく室内ではなくバルコニーに陣取る

 このカフェ、大通りより一本奥まった筋にあり英国大使館のす
ぐ近所ということで緑も多く静かな上になかなか格式があって気
にいっている。

「どうもお久しぶりです岡崎さん!そういえば来月号で「すごい
!自己啓発」書籍紹介しますんで楽しみにしてて下さいね」

「おっありがとう!嬉しいね」

「それから12月号でモチベーションシート記事で紹介しますね」

「おっ嬉しいね!ありがとう!」

「いえいえ。まだ本決まりじゃないですけれど期待しないで待っ
てて下さい。ところで東京FMなんだったんですか?」

「うん。主藤さんのラジオの収録でね。そういえばニアミスだっ
たんだよ!」

「えっ誰とですか?」

「くらたまなぶさん!そうそう忘れない内に電話しなきゃ。今電
話していい?」

「ええ。どうぞどうぞ」

ほんとこんな時こそ電話しておかなければ、くらたさんに電話が
繋がる。

「どうもご無沙汰しております。岡崎太郎です」

「あっどうも」

「今日東京FMにいらしたでしょう!」

「なんで知ってんの?」

「いやーたった5分ですれ違いですよ」

そんな経緯を説明する。

 そういえばPHPさんから出ている「THE21」でも僕の紹介
記事の数ページ前の特集が「くらたまなぶ」さんなのだ。

 このニアミスはぜひ修正したい。次回どこかでぜひ対談でもと
強く思う。

 そうして電話を切る。

 すると田村さんの携帯がなった。
 ちょっとすいませんと彼はちょこんと僕に会釈をした。

 液晶に表示された発信者をすばやく確認、電話をとった。

「はい。どうもお世話になってます。はい・・・今日の夕方です
よね。はい。はい。はい。・・・はい」

 どうやら夕方のアポらしい。
 彼は短く用件を終わらせ電話を切り僕に向きかえった。

「岡崎さん。今日夕方は予定あります?」

「いやーないんだよ。バンドの練習でもと思ってメンバーに連絡
したんだけど、今日は忙しいらしくてね。終わったらホテルでメ
ルマガでも書こうかと思ってるんだけど・・・」

「ある方のパーティーがあるんですが?一席キャンセルが出ちゃ
ったみたいで、もしよかったら一緒にどうです?」

「えっいいよ。場所は?神保町ね。時間は?18時了解!でもホン
トに僕が行っていいの・・・」誘い方が軽いので僕も軽く了解す
る。

「じゃあ主催者に確認はして再度電話しますから」

「わかったよ。で誰のパーティー?」

「****さんです!」

「えっ?」

 なんだ?ニアミスの次はサプライズがやってきた。
 
                        次回に続く
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  2005年10月21日   岡崎 太郎