482-DNYD7 デイリーニューヨーク日記 No7 2/2

10月31日 お昼から夜までの出来事。

 アリゾナにあるこの学校の名前は「サンダーバード」

 夏休みを廃することで通常2年間の修学を1年半で提供する

MBAの学校である。学生数は約600名内日本人は20名で
最近はインド・タイ・韓国の学生が多いそうだ。

 現在の学生の出身国は60数ケ国、過去の学生の出身国は130を越
えるというから国連参加国より多いわけでまさにインターナショ
ナルだ。

 実はこの学校、日本とは大変な因縁がある。聞けば施設や宿舎
からも当時を感じるのだが、戦時中ここは空軍の基地であり、あ
のB29が飛び立った基地らしいのだ。

 話を続けよう。

 入学するには、もちろん試験があり資格としては大学卒業が必
要なことはもちろん、授業はすべて英語のため語学力も必要にな
る。つまりある一定以上のレベルの人間しか入れないわけだ。

 授業はマーケティングにはじまりファイナンスにビジネスモデ
ルの企画にプレゼンテーション。オペレーションにマネジメント
と多岐にわたるわけだが、授業を通し出身国の違う生徒どおしが
ディスカッションを通しコミュニケイトするわけで大変刺激的だ
ろう。

 たとえばバルト三国といった旧ソビエト圏の生徒の価値観は、
日本人とは大きく違うわけで、マーケティングチャネルにギャン
グが出てくるなんて具合だ。

 この異種雑多な価値観を体験する事に比べれば学術的な知識に
何の意味を持たせることもできない。

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 MTB(マイサンダーバード)という卒業生のネットワークが
あるそうで、もし日本人でサンダーの卒業生がインドで事業展開
を考えた場合、MTBのHPにアクセスすればすぐにインドの卒
業生が反応するという具合だ。

 反応が早いそうで、たとえば上海に到着後中国の卒業生にコン
タクトできるほど速いので、「俺んちに泊まって行け」なんてレ
ベルの話も普通だそうだ。

 凄い。

 なにせ生徒数でいえばハーバードと同じ規模だそうで国際色で
いえばサンダーの方が上らしく、しかも愛校心で結ばれている。

 素晴らしい。

 わざわざアリゾナくんだりまで学びを求めて来ている生徒であ
る。圧倒的に一旦社会を経験して自分のお金で学びに来ている訳
だからモチベーションは最高に高い。

 だから強い愛校心が生まれるんだね。

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 アリゾナのショッピングセンターと最高級ホテルを見学。

 ホテルはなかなかの規模で、玄関を抜けると中庭があり、その
先がゴルフコースがバーンと広がる設計で気持ちがいい。

 まぁ車が無いと生活できないという事はよーく理解できた。

 それにしても本当に高級車が多い。メルセデスの販売店を見た
けれど、とにかくデカイ。中古車にしても何百台も展示してある
それもビカビカの奴がである。
 
 金持ちが集まってんですね。

 このアリゾナの土地を15年前に購入した男がいる。当時から地
価は数倍になっているそうだ。その男はロバートキヨサキ氏であ
る。実に「先見の明」がありますね。

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 夜は99年にサンダーを卒業したT氏を僕と森君そして現役2名
で「お寿司」を囲んでお食事。

 T氏は35歳。今東京でもっとも元気のある英会話教室を運営
していたのだが、上場直前に銀行系ベンチャーの会社に100%
売却し現在セミリタイヤを決めている若きミリオネラだ。

 学生時代はラグビーをやっていたそうで体格はレスラー級であ
る。しかし発言や身のこなしは極めて知的で上品である。

 寿司屋の店員にも「ありがとう」を忘れない。この心配りがな
い金持ちはただの嫌味なおっさんである。

 もともと彼はアイルランドで魚の買付けを業として3年はまり
込んで働いていたそうだ。ちなみにアイルランドといえばIRA
のテロとスコッチのイメージが強いというか、それしか浮かばな
いのだが彼によると90年代後半IRAが解散したことを受け国を
上げて企業誘致と税制の緩和を実施し目覚しい発展をとげている
そうだ。

外務省の情報
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/tenbo/99/tenbo_2.html

 知らないよ。そんな事!

 しかし話はおもしろかったね。

 産廃処理の会社からMBAに入った女性
 パチスロからMBAに転向した男に、はじまり

 現在の学長Mrカブレラ39歳スペイン人については最高だ。

 スペインのある学校を華麗に再生したその腕を買われ今年から
サンダーの改革に乗り出しているそうだが。

 E-ラーニングをはじめると発表するも、在校生卒業生から猛
反発・講堂でカブレラ対300人という公開討論会を開催したそ
うだが、この討論会、泥沼の様相を呈した。

「お前はスペイン人だからITって意味わかって無いんだろ!」
と学生

「・・・」カブレラ

「お手軽って意味なんだよ!」
 なんてモロ喧嘩ごし。

「誰が決めたんだよ」と学生

「コンサルティング会社に調査させました」カブレラ

「馬鹿野郎!MBA教える学校が金が無いってくせに、どこに金
払ってんだよ!」

 なんて凄まじいやり取りがあったそうですが・・・ 

 このMrカブレラを呼び込んだのが、卒業生でガーウィンとい
う47歳の実業家。60億円もの多額な寄付を行い学校の経営を
牛耳った。もちろん学校名にもガーウィンが冠についた。

 聞けばこの寄付の方法が面白い。ただ単純な寄付だと学校側も
努力を怠る可能性がある。なのでトータル60億は用意している
が、非公開に取り決められた目標数値を達成した場合ボーナス的
に払うという方式になっているそうだ。

 ガーウィンさすがである。

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 アリゾナは観光的には何もないけれど会話が面白かった。

さてアリゾナの予定は1日早く切り上げて明日はロスに行こう。 
だって何もないんだもん。

  2005年11月16日   岡崎 太郎