507-写真

 

 高校時代僕は、フォークソング部の部員のかたわら写真部の部
長をしていた。部長のくせに僕は、一眼レフはおろかカメラなる
ものを所有していなかった。

 

 部長になった経緯は、オタクを絵に描いたような先輩が卒業す
ると部員が僕1人になったので仕方なくなっただけだ。

 こう書くと無責任な感じであるが「カメラ」という機械に、な
んだろう男のギアという質感に惹かれたのか興味はあった。

 今でも変わらないけれど、まずはカタチから入りたがるのはこ
の頃から変わっていない。ただ当時はバンド活動の方が忙しくて
カメラにまわす予算がなかった。

 写真部の活動といえば、年に一回の文化祭で大量に販売するア
イドルのブロマイド作り。

 ひどい話だが、本物のブロマイドを接写でフィルム化し、学校
の白黒用機材でせっせと印画紙にコピーしていた。

 人気は岡田有紀子と「おにゃんこ」だった。

 後はバンド練習の合間に写真部の奥にある暗室を締め切り数人
で煙草を吸っていた。

 結局学校時代は現像は出来てもカメラはよくわからなかった。

 自分のカメラを持ったのは、19歳の頃、深夜バンド練習を終
え先輩のファミリアでスタジオから帰る途中、飲酒のクラウンが
追突したおかげで手にしたあぶく銭の保険金で買ったミノルタ
「α5700i」だった。

 このミノルタでいろんな場所で撮影しまくり一気にカメラにの
めり込んだ。カメラ入門なる本を数冊買い込み。フィルムもネガ
からポジになった。

 レンズを通して見る風景に、裸眼では気づかない構図を見つけ
シャッターを回した。そして僕は裸眼とファインダーその2つの
視点を持つようになった。

 あれから17年。itmで写真講座をプロのカメラマンを迎え
開催できるのは嬉しい。

 
  2006年01月31日   岡崎 太郎