518-どうなるんだろう?

 僕の家の近くに一戸建て感覚のマンションというコンセプトで
三階メゾネット屋上つきの新築物件がある。

 もう竣工して半年になろうかと言うのだが物件24戸中、契約
入居に至ったのは、なんとたったの3戸だ。

 表題どおり「どうなるのだろう?」と他人事ながら心配してい
る。なにせ在庫としては重たすぎる資産価値である。

 中古車も同じだが手離れの悪い商品は本当に困ったもんで、プ
ロジェクトの責任者は胃が痛いことだろう。

 何が問題なのか?僕なりに少し考えてみた。

 まずはこの三階メゾネット屋上つきである。図面を見ると一階
にしか洗濯機を置くスペースが見当たらない。主婦にとって洗濯
は日々のルーチンワークであり、この動線が悪い。

 もちろんエレベータは無い。

 これは掃除機にしても同じで1階から3階までと想像するだけ
でシンドイ。

 つまり縦の移動が障壁になっているのだろう。バリアフリーの
反対を行く暴挙である。

 だいたい一戸建て感覚という中途半端なコンセプトに問題があ
る。たしかに設計はおもしろいのだが、実際に建ってみると陽当
たりが不十分なのだ。

 それ以外にも企画の甘さが臭う。

 24戸くらいどうにかなると踏んだのだろうか?事前の検討で
どこまで想定していたのだろう。

 まず価格。近隣のライバル物件にくらべて800万は高い。

 次に小学校区。これもまたエリア最悪なのだ。しかも公共交通
機関はバスだけである。

 それから気がついたのは、モデルルームの駐車場だ。これが困
ったことに一方通行に指定されていて表通りからは駐車場に向っ
て曲がれない。ほんの2メートルの事なのだがグルリと迂回が必
要になる。しかも車1台の道幅しかない。

 このアクセスの悪さは問題で気軽に見学とはいかない。

 さてこの後、どうするのだろう賃貸にでも出すのか?
それとも1000万クラスの値引きで売り切ってしまうのか?
 
 どうせなら入居ゼロの方がすっきりする。なにせ植栽から警備
メンテナンスまで、マンションは住民の共同体なわけで連帯しな
ければ存在が危うい。

 難しい決断はそこまで迫っていると思われる。

  2006年03月06日   岡崎 太郎