537-壁付けトイレ

海外のホテルに行くと「壁付けになったトイレがある」
 もちろん洋式の大便器のことだ。


 日本の住宅にある大便器は床から立ち上がっているが、それと
比較して壁付けは、壁からニョキッと出っ張っていてる。

 海外の空港などでよくみる便器のタイプだ。

 イメージできるだろうか?

 床が何の障害物もなくなるこの壁付けタイプは、とにかく床の
掃除が簡単である。大理石でも貼れば完璧だ。

 さっそくネットで日本の2大メーカーを調べてみた。

「無い」そこで輸入建材も検索する。小一時間ほど執念の検索を
試みる。ところが、すべて床置きタイプである。

「?」どうして一般住宅用にこの壁付けがないのだろう?


 さっそくお客様相談室に電話をしてみた。

 まず「TOTO」である。2コールですぐにオペレーターと話
が出来た。(イナックスは4回かけたが「大変込みあってるため
おかけ直しください」と一方的に切断された)

「どうして壁掛けはないのですか?」我ながらダイレクトな質問
である。

「公共用のトイレにはご用意があるのですが・・・住宅用にはあ
りません」とても丁寧で綺麗な声だ。

「そうですか。ところでその公共用のトイレを一般住宅用に転用
はできないのでしょうか?」僕はしつこく質問をしてみた。

「はい。汚水と給水の配管の両方とも公共用は住宅用に比べて大
きいんです。ですから設置が出来ないわけですね」

「なるほど……では配管のサイズを変えれば大丈夫なんですね」

「そうですね。後は壁の強度が問題になります。詳しくは明日技
術の方に至急確認をとりますね。こちらの回答は電話またはファ
ックスでよろしいですか?」

「ではファックスでお願いします」

 翌日の夕方、とても丁寧なファックスが届いた。そこにはマニ
ュアルを超えた回答文があった。

 そして最後に

「住宅用壁掛け大便器については、今後の検討課題とします。貴
重なご意見をありがとうございました」

 僕は感動した。

 こんな突拍子もない戯言に、ここまで親切に丁寧に対応してく
れるとは東陶機器株式会社グレイト! 


 

  2006年04月12日   岡崎 太郎