555-個人情報の暴走2

DCカードからカードの発行を断られた。

 つまり僕はブラックと言うことらしい。
 しかし一切身に覚えが無い。


 

JALカード>DCカード>信用情報提供会社>九州カード>
取引銀行。

 以上5箇所と連絡を取りようやく意味がわかってきた。

 ここでもう一度ポイントを整理しておこう。

 まず一番目に
 債務の存在を知らないこと(自動融資のシステムも知らない)

 次に、督促されていたことを知らない。すでに10年前に引越
しをしている住所にせっせと督促をしていたらしい。これは1万
円という低額の債務が原因で督促業務が甘かった疑いがある。

 もちろん僕には悪気のないこと。

 以上3点。とにかく事実関係をはっきりすることだ。

 15時を過ぎた頃僕の携帯電話に連絡が入った。

「岡崎さん。ご迷惑をお掛けしております。ようやくわかりまし
た。今お使いの支店ではなくて1992年に開設された別の支店
にあるクレジット機能付き総合口座みたいです。今詳しい事は調
べていますが、なにぶん昔のことですから98年までの履歴しか
とれなくて・・・」

 僕は黙って報告を聞いた。

「98年から今年までの8年間はまったく口座に動きがありませ
ん」

 そりゃそうだろう。なにせこの口座の存在を僕は知らない。

「ただですね。バンクカードの年会費が毎年請求されているので
すが、この金額が引き落とされてないのです」

 えっ?

「じゃあ何かい。代理弁済された1万円というのはクレジットカ
ードの年会費ということなのか?」僕はクラクラしてきた。
なんという因果だ。クレジットカードの年会費が10年積み立て
られ一万円を超えたことが原因というわけか?

 ありえない。

 しかし。なぜ年会費が払われてないのにクレジットが失効して
いないのだ?それにそもそもカードさえ持っていないのに・・・
と言うかこの口座の存在を知らないのに・・・

 いや僕が忘れているのだろうか。

「岡崎さん。どうもご迷惑をお掛けしてすみません。いま詳細は
調べさせていますので」

「そうだね。100歩譲って僕が作った口座だとすると管理責任
は僕にあるわけだけど、すでに8年間口座の残高は0円で動きは
なく。年会費も落ちていない上に督促状は戻ってくる。つまり更
新された新しいカードも届けられていない状態を客観的に考えて
みてどう?」

「はぁ、具合の悪い事に自動融資の設定があるために起きた事故
ですね。この設定がなければ一年でクレジットカードは失効して
いるはずですから」

 自作自演と言うか・・・銀行のバンクカード年会費が貯まって
払われないから自己融資してその挙句に保証会社である別のクレ
ジット会社に代理弁済させて僕の信用情報にブラックコードを登
録したわけだ。

 ヒドイ。酷い話だ。

「とにかく担当部署にすぐに対応させてください」僕は強く念を
押した。

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 翌日まだ連絡はない。夕方になって僕は担当の行員に電話をす
る。

「この件は支店長は知ってるのかい?」

「ええ。もちろんですよ」行員はすみやかに応えた。

 しかし僕は納得できなかった。どうも温度差を感じたのだ。
たらい回しに情報が伝達される場合、情報が変化するのはもちろ
んだが、クレームの温度が低くなることが一番の問題だ。

 クレームの温度差が激しく高いほど対応する側は本腰で対応す
る。僕はこの温度が低く伝わっている気がしたのだ。

「支店長から電話もらえる?僕から直接伝えるわ」

すぐに支店長から電話をもらった。僕は丁寧にそして熱を込めて
現在判明していること、そして疑念されることを伝えた。

 どうやら僕の予想があたったようで、支店長はそこまで大きな
問題とは捉えていなかったようだ。

 しかしどうも話していて対応する支店の違いが彼を他人事に引
き戻している気がしたので、直接問題のあった支店の支店長から
も電話をもらうことにした。

 僕は根気強く同じ話を丁寧にそしてさっきよりも強い口調で説
明した。

続く。

 

  2006年06月06日   岡崎 太郎