先日、南青山の骨董通りを歩いていた。するとウインドーに
目の醒めるようなパープルのベルトが飾ってあったので思わず店
の扉を開け中をのぞいた。
店内は黒を基調にしたハードな内装で店名は「L’ANGE
NOIR」アンジュノワールと読む。
これまた黒装束に身を包んだ上品なお姉さんが足音をさせずに
僕に近づいた。気配を殺したりできるのだろうか、まるで古武道
の移動術のようだ。
まず手に取ったのは、これからの季節の必需品「扇子」プライ
スを見て驚いた。
28000円とある。
一瞬脳が泡をふいた。桁を間違えたか?
ほんの一週間前に香港に販促ツールの扇子を5000本発注したけ
れど150円程度だったぞ!
僕はマジマジとその扇子を見つめる。
どこがどう高いと言うのだろう。確かに柄の最後にシルバーで
彫金が施してある。これが高いのだろうか・・・。
はぁ。僕は思わず息を吐き出し「高いねこの扇子」と店員に投
げた。お姉さんは薄ら笑いを浮かべ値段が問題なの?とでも話出
しそうだ。ちなみにその横にある「耳掻き」は42000円である。
唖然とする。
僕は視線をあげて店内を見回した。
クロコのドキュメントバッグを見つける。オールクロコで真四
角堅牢というその形。風格がある。ペロンと正札を見る。
「68万円」
おおおおお!僕は店員の気配を感じ振り返った。
「クロコとしてはまだお安い方ですわよ」と言って他のクロコ製
バックを僕に薦める。こちらのバックはなんと「200万」!
おおおお!オウンゴールしてしまった選手のように僕は悶絶。
次に僕が手にとったのはシステム手帳用のバインダー。
バインダーは高くても10万くらいだよね。そう心で想いながら
正札をペロン。「ん?」
なんと「290000円」である。
表紙に使われている亀の甲羅が高いそうだ。それじゃなくても
手帳は重いというのに・・・実用性はゼロだ。同じ甲羅をあしら
ったカフスは19万円から。
しかしブランドは聞いたことの無い製品をこれだけ高額で販売
するというのも凄い。ちなみに彼女は「作品」と呼んでいる。
トータルプロデュースは写真家であり彫刻家の田原桂一氏。
http://www.kahitsukan.or.jp/tah.html
蛇にアリゲーターにパープルにシルバーそして黒。そんなテイ
ストなのだろうか。確かにカッコいいが高い。
3年前にワールドの新業態として国内唯一の店舗を構えた店で
こだわりの高級品とオーダーシャツ・スーツの店だ。しかし思い
切ったことをする。実験店という位置づけなのだろうか?
とにかく10分足らずで金銭感覚が破壊されるお店である。