バングラデシュ以来約3か月ぶりにアーティスト黒田晃弘と札
幌で再会した。同行したのは新刊「夢トレ」でお世話になった河
出書房新社の編集者H氏だ。羽田空港で合流し夕方札幌空港に降
り立った。
そこからエアポート快速で札幌駅へ。西改札で黒田が手を振っ
ていた。合流した僕らは黒田のお世話になっている知人宅で夕食
を振舞ってもらい夜中まで話し込んだ。
翌日。新刊「夢トレ」に出てくる寿司の名店「すし善」さんの
本店へ本を進呈するためにランチに出かけた。汐留店も最高に美
味いが本店はさらに美味かった。ここぞとばかりに「時しらずの
鮭・えぞばふんウニ・イクラ・ボタン海老」北海の贅沢な旬味を
食べつくした。
その後腹ごなしも兼ねてイサムノグチの遺作であるモエレ沼公
園に向う。その雄大な構想はテレビで知ってはいたが、聞くと見
るとでは大違い。カメラのフレームに収まりきれない大きさは体
験することでしか理解できない。
構想から数年後マスタープランが完成した後イサムノグチは死
去。その後マスタープランをもとに十数年の歳月と莫大な資金が
費やされ公園は完成した。その甲斐あって世界に誇れる作品だ。
地図に記載される高さの山を造成した話まであるが所詮それは
全体からみれば一部分の瑣末な話である。この作品は理屈を超え
ている。凄い。
公園をひと回りして立ち寄った休憩所ではイサムノグチの自伝
的DVDが放映されていた。僕は思わず最後まで見入ってしまい
見終わった後そのDVDと関連書籍を購入した。
イサムの思想と行動力。
僕は感銘をうけムショウに創作意欲が湧いてきた。まぁ単純だ
からね。結局夕方までどっぷりいた。
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一旦ホテルに戻りススキノに出かけた。ガイドブックに紹介さ
れていた昭和を色濃く残すキャバレーエンペラーに興味を引かれ
た。店内の雰囲気がいいんだ。
正面に立つと今夜のショーの内容が目に飛び込んできた。
「バスストップの平浩二オンショー!」
なんと!これは見ないわけには行かない。昔お世話になった社
長の十八番でスナックで何度も聞かされるうちに僕も大好きにな
ってしまった懐メロの名曲だ。地下に下るエスカレーターに飛び
のった。
ホールに案内されると僕は息を飲んだ。
「こんな箱がまだ残っいていたんだ」
昭和48年にオープンしたこの社交場は当時4000万で設置
した巨大なシャンデリアをシンボルに生バンドによる歌謡ショー
を続けている。
無国籍でダークな雰囲気。時代を越えて刻まれた様々な痛みが
CGでは表現できない本物の風格と威厳を醸している。
映画の1シーンやPVの撮影にはもってこいだなと思い僕は
シャッターをまわした。
強烈なスポットライトに照らされ往年のスターがステージの中
央に浮かぶ。生バンドがイントロの演奏をはじめる。バスストッ
プだ!一気に会場のテンションが上昇する。歌い出しから会場の
オーディエンスも熱唱であるモチロン僕もだ。
札幌最高!