583-ヌメ革

今回モチベーションシートA5サイズ発売を記念して本革のバ
インダーを製作したのですが、なんと裏の革には贅沢にヌメ革を
使ってみました。

 

わかりやすくいえば、ヴィトンの定番モノグラムの取っ手なん
かに使われている肌色の部分の革ですね。

 堅牢でしかも使い込むと味わいがでる革です。
 そこで今回はヌメについて書いてみました。

 厳格にヌメ革と言えば、タンニン鞣しのみの処理を指しますの
で染色や塗装それから型押加工を施されていない革となります。

 ところが今では広くタンニン鞣し処理の風合が残っている革全
般を「ヌメ革」と呼んでいます。(中には染色をした革もヌメと
呼ぶメーカーもあります。まことに紛らわしいです)

 今回選んだヌメ革は、鞣した後に風合いを残しつつ、最低限の
表面処理をしたA級ものです。顔料等は一切使用していません。

■ヌメ革の魅力

 ヌメ革の魅力は、使い込んでいくうちに日焼けや手の油脂など
が染み込むことで照りを伴った深い飴色に変色することいえるで
しょう。まさに「革を育てる」そんな表現がぴったりです。ぜひ
風合いの変化を楽しんで欲しいと思います。

 またもうひとつのヌメ革の特徴といえば、表面にカスリ傷や引
っ掻き傷の跡が付きやすいこと。その反対にヌメ革は使い込むう
ちに、新しいうちは密に絡み合っている繊維が少しづつほぐれ、
内側からじんわりとツヤが出てきます。堅牢さはそのままに柔軟
性がでてくると言えばいいでしょうか、使い込むことで適度にく
ったりとした表面と無数の傷そしてツヤが相成って味わいになる
のです。

■ご理解いただきたいこと

 さてお買い上げの前にどうしてもご理解頂きたいことがありま
す。それはヌメ革ゆえに存在する傷痕や血筋(血管の跡)シワのこ
とです。染色や加工を一切排除したヌメ革であるからこそ、どう
してもあからさまに動物本来がもっていた皮膚の状態を見せてし
まいます。

 なにせ動物はたいてい、体のあちこちに必ずと言っていいほど
傷をもっています。これは衝突によって出来た傷もあれば線のよ
うに残った切り傷や擦り傷から、とげが刺さったようなものまで
それぞれです。ちなみにクローム鞣しであれば、こうした傷痕や
血筋は程度にはよりますが、革を引き伸ばしたり塗装する過程で
目立たなくすることが可能です。ところがヌメ革の場合はできま
せん。

 そういった理由から、あまり傷の多い皮はヌメ革として世にで
ることはありません。しかしそれでも傷がまったく無い革など無
いに等しいのです。(染色された革やクロム鞣の革よりヌメ革の
価格が高い理由はここにあります)

 もちろん、工場と細かい打ち合わせを繰り返し、あまりに大き
な傷は避けて裁断を行っていますのでご安心下さい。

 さて現行のA4サイズの半分というモバイルサイズの新しい
A5MSですが、ぜひこの機会に特製バインダーと共に手に入れ
てみませんか?

「2007MS」の詳しい情報を紹介するページができました。
http://www.it1616.com/ms2007/a5.html

  2006年09月26日   岡崎 太郎