602-DCN-10 カストロに逢いたい!

26日キューバ3日目 真夜中。
 
 ホテルに戻ると、メルマガを書き、荷物をカバンに詰めた。
 時計は夜中の一時を少しまわったところだ。


 

 ホテルのバーが3時まで空いているので、オールドラムとコィ
ーバを試そうとエレベータで向う。

 カウンターには3人ほど先客がいて盛り上がっている。
 3席ほど空けて座る。

 日本には流通してない年代物のラムをストレートで注文しコィ
ーバを咥えた。(日本に帰って調べてみると一部流通している)

 人生これほど葉巻を吸った日はないなぁ。もう一時は吸わない
かもな・・・肺には入れないが正直背中が痛い。そんな事を考え
ていたら、隣のカップルから声を掛けられた。

「よう日本人、俺を覚えているか? 今朝屋上のプールであった
だろう」

 あっ!帽子をかぶっていたので、すぐにわからなかったが、
散歩の後、ホテルの最上階から市街を見下ろす写真を撮っていた
時、野外プールで泳いでいたカップルだ。

「あっ!タトゥーの」
 思わず僕はそう応えた。
 なかなか立派なタトゥーが入っていたからだ。

 男は笑ってグラスを差し出し乾杯の仕草をした。
 
「サルー」

 この男、スイス在住の28歳、名前はファルク。職業はタトゥー
アーティストで、時間ができれば身軽に世界を回るのがライフワ
ークだそうでキューバは12日間の休暇で訪れている。

 まわった国は、アフリカ・ドバイ・イスラエル・オマーン・
UAE・サウジアラビア・トルコ・上海・アメリカ・ベネズエラ
ブラジル・メキシコ・アルゼンチン・ペルー・・・。

 なんだか楽しそうだ。

「日本はまだ行ったことがないが、来年はぜひトライしてみたい
ヤクザのタトゥーにとても興味があるんだ!」

 あはは。それはどうも。

 そんな彼にハバナはどうだ?と質問してみた。

 すると少し考えた後

「今まで行った場所でもハバナはスペシャルだ。俺はスイス人だ
から社会主義ってのは反対にあるわけで、いろいろと考えさせら
れた」と答えた。

 続けて「お前知ってるか?観光客は持てない配給用のキューバ
ペソ1ペソは俺らの使ってる24ペソなんだ。つまりこの国には
2つの通貨が存在しているんだ」

 何の話だ?はじめて聞いた。僕が変な顔をしていると男はゲバ
ラがデザインされてる3ペソ札を見せてくれた。ガイドが記念に
とくれたそうだ。

「じゃあ給与はその高いペソで払われてるのか?」

「いや150ペソは俺らと同じペソの価値で払われてる。交換も
自由だそうだ」

「じゃあ地域通貨みたいなもんか?」

「さぁ」

 詳しくはわからないが経済危機の後に施行されたらしい。

 結局それから3時まで話明かしメルアドを交換した。

「アミーゴ、俺が日本に行くときは連絡するよ」

「了解した。僕も来年はヨーロッパを予定にしてみるよ」


 

  2006年11月15日   岡崎 太郎