27日キューバ4日目 早朝。
30分だけ仮眠をする。寝過ごさないように携帯電話の目覚まし
をセットする。
高速エレベータで地下20階まで下るように眠る。
その次の瞬間。デジタルなファンファーレで目が覚めた。
朝の五時だ。
顔を洗い、細かい荷物をバックに詰め、忘れ物を確認し急いで
部屋を出る。
5:25 一階フロントでチェックアウト。
ロビーを見回す。旅行会社が手配してくれたガイドが見当たら
ない。飛行機が8時だから6時までには空港へ行きたい。
5;40 ガイドよりフライトが優先だ。
ホテル前に停まっているタクシーと交渉。30キューバペソと言
われるが、財布の中にはメキシコペソとキューバペソが10しかな
い。全部足してあるかどうかだろうか。
全額を運転手の手に押し込む。スペイン語しか話せない運転手
が苦笑いで「OK」と小さく万歳をして応えた。
グラシアス。
トランクに荷物を乗せ後部座席に乗り込む。空港まで約20分だ
真っ暗闇の中をタクシーは快調に走り出した。
ハバナといえば、50年代のアメ車やロシア製の車が現役で走っ
ていることで有名だ。どうしても写真映えがするのは、やはりク
ラシックカーなので、新車は走ってないような印象だが、欧州系
のプジョーやワーゲンなんかの新車は走っている。ベンツやBM
Wは見なかったが・・・とにかく新旧2台が並んでいるのは理屈
抜きに不思議な絵だ。
しかし短い旅だったなぁ。エンリケとは再会することがあるの
だろうか?Eメールがあるから連絡は取りやすいか・・・。
なんて考えていたら
・・・あれっ?
何か変だぞ。何かおかしいぞ。
僕はリュックからエアチケットを取り出し、搭乗日を見た。
28日。
28日?
時差の関係でキューバに入ったのは24日の22時だ。
僕は指折り日数を勘定した。24・25・26・27
もしや。
いやそんな間違いはあるはずがない。チェックアウトの時に何
も異変はなかったし。
うーん。
後部座席から前に乗り出し「今日は27か?28か?」か
僕は運転手に問いただした。
「セニューーール トウデイ 27だよ」
やっぱり。そうだよね1日間違えてるぞ。ガイドもいないはず
だ。どうしよう、このままカンクン行っちゃうか?オフシーズン
だからホテルは空いてるだろうが・・・でもそんなわけにはね。
異変に気がついたのか車は路肩に停まってしまった。
「セニューーーール?」ニョーを伸ばすだけ伸ばし運転手が振り
返った。
僕はうつむき加減で
「ソーリー・アイ・ミステイク・バックトウ ホテル」
と答えた。
「なっ」運転手は絶句した。
そんなわけで空港の灯りが見える直前で車はUターンをした。
まぁ考えてみれば1日分、得をしたようなもんだ。
しかしエンリケと街でばったり会いたくないなぁ・・・。
情けない。