636-スプーン曲げ【第三章 抽出(3)】

次は「モノ」ジャンルだ。

「やっぱり家だよな。住環境は大事だ。子供が小学校に上がる時には部屋を
ひとつ用意して女の子だったらピアノを置くんだ」山本が妄想を膨らましな
がら話し出した。不快感は無い。


 

(1)家の場所、広さ、機能、値段、近隣の環境、学校区

 そんな感じか?いつのまにか、メモもインタビューも僕の仕事になってい
た。
「ちなみにどの辺に住みたいんだ?」

「子供ができたら、横浜なんかいいよな。海あるし。神奈川って響きもいい
じゃん」

「車はどうだ?」

「たくさん乗れるのがいいね」

車で書くとこんな風になるね
(2)車の種類(車名・年式)、色、台数、価格、車庫

「動けばいいんだろ?」

「ああ車は動けばいい」

 山本相手では車談義に花が咲かない。僕は話を切り上げることにした。

 たくさん稼いだら、身に着けるものもそれなりになるよな

(3)服装・靴・カバン・小物
(4)時計・アクセサリー
(5)家具・食器・グラス・オーディオ・電化製品
 
「そういえば、ある雑誌で5000万もする時計が紹介されてた。純金かと
思えばそうでもなくて、文字盤が見えないくらいダイヤで埋め尽くされてん
のかと思えばそうでもなくて、独創的なドライブってのが理由らしいが・・
・それにしても都内の高級マンションが買える値段だ」

「なんだ?そんなの欲しいか?」

「いやせいぜい50万くらいで充分だよ。それ以上高いもん腕につけたくな
い。それに考えただけで気が重い」

 僕は山本も同じセンスでよかったと安堵した。
 モノのジャンルにまつわる質問はすぐに埋まった。

@  @  @  @  @  @  @  @  @  @  
次は「知性」のジャンルだ。

 これはどう考えたらいいんだ?僕は山本に質問した。

「人間ってのは好奇心を持った動物だろ。つまり知識欲なんだな」なるほど
好奇心か。確かにそのとおりだ。

 まとまった休みが取れるのであれば、長期で語学留学がしたいと考えてい
たことを思い出した。最近はめっきり仕事が忙しくて、そんなこと考える余
裕もなかったが。勉強しようと考えるのも好奇心のひとつだ。それと向上心
だな。
 まずは、ゆっくり「興味のある分野をリストアップする」ことからはじめ
てみるか?

「山本は何に興味があるの?」

「最近じつは書道に興味があるんだ。テレビである書道家を観てから頭を離
れないんだ。俺も書いてみようと思って先日、筆と墨と硯に文鎮と一式買い
こんだんだ」

「へぇ意外だなぁ」

「予想外だろ。そういうお前は?」

「書道には興味ないけれど、たくさん本が読みたいと思っている。それこそ
日本語で書かれた本以外。外国の本もできれば読んでみたい。それと音楽か
な、いろんなジャンルの音楽を聴くのもそうだがギターで作曲するのも楽し
い。それに、自作のスピーカー作りに興じるのもやってみたいことのひとつ
だ」

 このジャンルも考えれば次々にでてくる。趣味だけでもまだ手をつけてな
いことは盛りだくさんにある。

 そうしてこのジャンルの質問が決まった。

(1)興味のある分野をリストアップする
(2)たくさんの本を読む
(3)趣味の分野で挑戦したいこと
(4)芸術の分野で挑戦したいこと
(5)専門の研究分野で挑戦したいこと
 

次は「体験」のジャンル。

  2007年03月07日   岡崎 太郎