673-パティーナ

NHKの「デザインウォーズ」という番組でソニーエリクソン・LG・NE
C3社の、次世代携帯電話デザインへの取り組みが詳しく紹介されていた。


中でも、ソニーエリクソンで行われている「審議:singi」という
ミーティングスタイルは興味深かった。

 MBAの教科書には、トヨタの「看板:kanban」や「改善:kai
zen」と普通に紹介されている。「審議:singi」も同様に海外で一
般的になってきているのだろうか?

 一般的なミーティングとどう違うのかよくわからなかったが、番組の中で
は「パティーナ」というコンセプトが導き出された。(グーグルで検索して
みたが、解説ページを見つけることができなかった。もしご存知の方がいれ
ば、ぜひご一報いただきたい!)

「パティーナ」ラテン語で「経年変化による味わい」という意味だそうだ。
 
 ピカピカに新しい携帯電話から、もっとヒューマンな携帯電話へ、使い込
んだ道具、愛情がもてる製品へ、そんな想いをつき詰め出た考え方だ。

 開発チームは京都に飛び、銅が緑に変化した様や石に雨が落ちて出来た穴
、苔の生えた堀、そういう世界にパティーナを発見していた。

 人間に、馴染む、身近な素材を使って感性に訴える製品を作りだそうとい
うわけだ。使い込んだ先にある、味を製品コンセプトの中心に置くというの
だから、筐体を革張りにでもするつもりなのだろうか。
 
 それにしても携帯もずいぶん奥深い世界に来てるんだなぁと驚いた。

 番組の中ではLGとNECの開発チームも紹介されていたのだが、カメラ
に、ネットに、音楽再生などの技術を盛り込めば売れた時代は終り、デザイ
ンが勝敗を決める最大要素になったと開発手法をデザイン中心にシフトして
いた。

 ただし最新技術を手の平サイズに詰め込んだ携帯電話は、重さ・厚さ・電
池の消費量から発熱など、技術的にかなりシビアだから、デザインと共同開
発と簡単に言ってもその道のりは極めて厳しいだろう。

 しかもディスプレイは年々大きくなってきている。アップルの新携帯では
ないが、インターフェースの開発も新しい発想が必要になるだろう。

 すべてのメーカーは最高の人材を投入し、スピードと質、その両方を極限
まで昇華している。ますます携帯電話から目が離せない。

  2007年08月03日   岡崎 太郎