702-鉄板焼

 先日宮崎空港を利用した時のことだ。

 搭乗まで一時間ほどあったの3階の飲食街で昼食をすることにした。
お寿司・郷土料理・軽食のレストラン・うどん屋の中から一番メニューの多
そうな軽食レストランに入った。


 

 店内は意外に奥行きがあり、喫煙と禁煙にわかれている。壁面はすべてガ
ラスで滑走路に並んだ飛行機を眺めることができる。

 一番奥に一段高くなっているフロアーがあり、鉄板コーナーが見えた。
「お好み焼かなぁ」と思い、近づくと牛肉の製造者番号を紹介した黒板を見
つけた。宮崎は黒毛和牛の産地ではあるが、空港で鉄板ステーキとは予想し
てなかった。

 ウェイトレスをつかまえ「フィレはあるか?」と尋ねたら即答で「ある」
そうだ。別に食べたいモノがあるわけではなかったのだが・・・突然フィレ
が食べたくなった。

 鉄板カウンターに座り、お肉の登場を待った。鉄板の上にはうっすら埃が
積もっている。どうやら利用客は少ないようだ。先ほどのウェイトレスが
鉄板の掃除をはじめた。

 お肉が運ばれてきた。予想に反し本格的な厚みをもった上等のお肉だ。
手馴れた手つきで野菜が焼かれ、肉が焼かれた。ソースと塩で食べたのだが
ホテルで食べるステーキと何の遜色もない。

 価格の安さ・質そして空港でこれほど本格的な鉄板ステーキが食べれた
ことに質に驚いた。

 僕の興味は利用客に移った。

「ねぇ、一週間で何人が利用するんですか?」
「一組くらいですね」
「わぁ少ないですね、みんなあまり知らないんでしょうね」
「そうですね。積極的に宣伝してませんし」
「なるほど」
「でも常連のお客様もいらっしゃるんですよ」
「ほほう。確かに美味しいですもんね」しかし少ない。
空港という場所柄、時間のない客が多いことは否めないが、それだけでは
無い、この情報を引き出せる能力が必要だ。

 まず好奇心と観察眼。あの鉄板カウンターは何だ?と発見できること。
なにせ通常のメニューには無い。

 そして単純に質問できること。
 そして実際に食べようと行動すること。

 あとは少しのお金が必要だ。価値からいえばホテルの三分の一である。
 
 ちなみに宮崎空港の年間利用客が約310万人。季節変動はあるが月平均
26万人だ。出発客を単純に半分とすれば13万人。その中の三分の一が飲
食をするとして4万人。レストランが4店舗なので、このレストランの利用
客が約一万人。その中で鉄板ステーキを食べる人が4組約8人から10人と
なる。つまり千人に一人だ。この数字が正しいかどうかは別にして、そのく
らいの確率ということだ。

 そんなことを考えた。

 

  2007年12月27日   岡崎 太郎