711-ライナーノーツ

僕はCDやレコードに付属しているライナーノーツを読むのが好きだ。

 CDの薄いフィルムを剥ぎ、盤をプレーヤーに挿入する。ソファーに座り
リモコンのプレイボタンを押す。ほどなく一曲目が再生される。そして僕は
取り出したライナーノーツに目を落とす。音に包まれながら、ゆっくり活字
を追う。これぞ至福のひと時だ。

 アーティストの秘話からはじまり作曲時や録音時の逸話を読んでいく。
僕の脳に雑学的情報がインプットされる。

 純粋に音楽だけを聴くのも悪くないが、情報とともに音楽に体を預けると
聞こえてこないメッセージが聞こえてくるようだ。

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 デヴィッド・ボーイの『レッツダンス』というアルバムが、僕が最初に購
入したレコードで中学生のお小遣い一ヶ月分で手に入れた。

 だからライナーノーツは端から端まで読み尽くした。
(ギターはスティーヴィーレイボーンで、彼はこのアルバムで一躍、稀代の
ギターリストとして注目される。ダウンタウンのガキ使いのオープニングに
採用されているので知っている人も多いと思う)

 書かれている情報を読んで、心はNYにロスにロンドンに飛んだ。
 炭鉱の色が残る筑豊の片田舎の中学生にライナーノーツは清涼剤だった。
 
 ライナーノーツの語り口は書き手によってそれぞれだが、音楽が好きだと
いう情熱が溢れている。それがまたいい。マニアな話に惹かれる自分もまた
マニアなのだと感じる。それがなおいい。

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 今日はジェームスブラウンの「ファンクパワー1970」というCDを中古で
手に入れたので聞いていたのだが、このライナーノーツがいい。

(こんな名盤が廃盤になっているのが不思議だが・・・)
 僕の生まれ年の1970年代のジェームスの事が書いてある。
最高傑作である「セックスマシーン」を引っさげ興行的にも成功していた時
期にも関わらず、金がもとでメンバーの不満が爆発する様は皮肉だ。

 それでも神様ジェームスは叫ぶ。

ともかく演奏は凄まじい集中力が漲っていてまさにファンクな一枚である。

 

  2008年01月24日   岡崎 太郎