僕が反抗期だった中学二年生のある日、高校進学の件で母親と喧嘩した。
僕は受験に向けてのリアリティーが欠如していた。
進学してもその先は?
将来の夢など何もイメージできなかった。
それなのに周囲の友達を見てると焦る気持ちは大きくなった。
塾へ通う友達も増えた。
そのうえ先生も日に日にプレッシャーを掛けてくる。
勉強しなければと思うほど、勉強から逃げたくなった。
考えることが面倒だと感じた。
母親はそんな僕の気持ちをわかるはずもなく、ただ勉強しろと強制した。
心配している気持ちは痛いほどわかっていた。
そんなある日だった。
とうとう僕は大きな声をあげ食卓テーブルの上にあった何もかもをひっく
り返した。
予想したより派手にモノが飛び散った。
食器がガラス戸にあたり音を立てて割れた。
母親の顔を恨み顔で睨んだ。
顔面蒼白で立ち尽くした母親がいた。
冷静に話し合うなんて選択肢はどこを探しても見つからなかった。
この場から逃げ出したかったが、僕は動けなかった。
次の瞬間、母親がキレた。
「もうわかった高校なんて行かなくていい。二度と勉強しろなんて言わない
そのかわり高校に行きたいなんて言っても絶対行かせない。いったい誰の
お陰でご飯が食べれてると思っているの!」
そのキレっぷり。迫力は天下一品だった。
ヒステリーではなく母親の心からの叫び声だった。
その声は心に響いた。
「シマッタ」
とうとう本気で怒らせてしまったぞと思った。
そして魔法が解けたように次の瞬間、どうしても高校には進学したいと強
く想っていた。
僕は「すいませんでした。お願いです。高校へは行かせて下さい」深々と
頭を下げた。
母親の怒りは収まるはずもなく、その後一時間以上文句を言わ続けた。
ともかく偶然の産物ではあったけれど この日を境に僕は受験勉強を
スタートした。
誰のためでもなく、自分の将来のために・・・。
今年息子が15歳になる。例に漏れず反抗期に突入している様子で
どうにも親を実感する季節が到来したようだ。