718-ベトナム

 今回は通販の仲間11人とベトナムのホーチミンに飛んだ。男ばかりの旅
で行程は2泊4日でホーチミンと第3の都市ダナンをまわる。


 ベトナムは社会主義でありながら、急速に経済を拡大させているエネルギ
ッシュな国であり、今回はそのあたりの事情を少し理解できればと考えてい
た。ちょうど出発する前の日にキューバのカストロ議長が辞任するという
ニュースが飛び込んできた。ずいぶんと病気療養が長引いていたので辞任は
当然であるが、NHKのBSで報じられたこのニュース、各国によって色が
違うものとなっていた。

 中でもアメリカは大統領予備選のまっただ中というタイミングと過去繰り
広げられたキューバとの軋轢を拭えるはずもなく、資本主義絶対優位を理由
に批判的な立場を示していた。

 ところが他のメディアは、まずカストロの偉業を称え、そのあとそれぞれ
のキューバ論を展開していた。そのほとんどは好意的な内容である。

 ご存知のとおりキューバとアメリカは未だ国交は開かれていない状況であ
るが、ヨーロッパの国々また日本とはもちろん国交があるわけで、アメリカ
とそれ以外の国ではキューバの捉え方がまったく違う。島国であるキューバ
は他国と連携しなければ、成立しない国である。資源に乏しいこの国は、ラ
テン最高の医療と化学力そして近代農業で存在価値を高めている。
まさに人材が宝なのである。

 社会主義といえば、ロシア・中国・北朝鮮のように寒く厳しいイメージが
あるけれど、キューバを筆頭にベトナムやベネズエラは気候が暖かい。その
影響かシビアになれるはずない。つまり陰湿で暗いイメージなど毛頭ない

 さてベトナムに話を戻すと、教育や医療がオール無料であるキューバに対
しベトナムは有料であること、食料の配給制度はとうに終了していること。
中国に負けない勢いで外資を積極的に導入していること。街にはヴィトンか
らリーバイス、ナイキにアディダス、また資生堂をはじめ世界中の化粧品が
溢れていること。大型の観光バスで世界中の観光客が押し寄せているし、公
園には大量のカップルが仲良くいちゃついている。夜の歓楽街にいけば六本
木顔負けのキャバクラがところ狭しとオープンしている。

 しかも税金は安く、国民は勤勉で労働も金儲けも大好きと聞く。

 今回ガイドをしてくれたベトナム人のゲンさんは、日本の木材会社の社員
でありながら暇なときはガイドをし、また副業で古いべスパを買取りリスト
アして日本やイギリスまたフランスへ輸出するという仕事をしている。自宅
には現在80台ものべスパが眠っているそうで、一台30万円から50万円
の値段で取引されるそうだ。最低の30万円で計算しても2400万の資産
である。(フランス統治時代、べスパが大量にベトナムへ輸出されたそうで
ある。ちなみにこのレトロ事業、イギリス人が3000台規模の在庫で商売
をしているそうだ)

 どこをそうみても資本主義で自由な国で社会主義の欠片も見当たらない。
 
 聞けば、よほど日本の方が社会主義ではないか?

 社会主義・共産主義。タイトルなどに惑わされず実態を肌で理解しないと
いけないと再認識した旅だった。

  2008年02月29日   岡崎 太郎