742-はじめてのレコード

 はじめて買った邦楽のレコードは、杉真理の「オーバーラップ」で中学校
一年の時だった。


当時、大滝詠一を主軸に佐野元春と杉真理の3人で発表した『Niagara Tri
angle vol.2(1982年)』というにコラボレーションアルバム(CM曲として
大ヒットした「A面で恋をして」が収録されている)で杉真理を知り彼のソ
ロアルバムを手に入れた。

 タイトルに「vol.2」とあるのは、大滝詠一、山下達郎、伊藤銀次の3人
による『Niagara Triangle vol.1(1976年)』が先にあるからだ。

 伊藤銀二といえば、長寿番組「笑っていいとも」のオープニング曲『ウキ
ウキWatching』が代表作だが、アレンジャーやプロデューサーとしても
アンルイスの『六本木心中』や、ウルフルズ3枚目の出世アルバム「バンザ
イ」のほか佐野元春『Heart Beat』など多くの作品を送り出している。
山下達郎の説明はいらないだろう。僕は初期の達郎ファンク作品ソリッドス
ライダーが収められている『SPACY』1977年が好きです。

 話を戻せば、とにかく『Niagara Triangle vol.2』は秀逸なコラボアルバ
ムだった。そしてこのコラボアルバムがリリースされた2ヵ月後の1982年5
月にリリースされた佐野元春3作目の『SOMEDAY』が大ブレークする。
(その後、佐野元春は1983年単身渡米する)

 そんな状況の中、自然と残りの杉真理に興味が移るのは当然だった。

 それが『SOMEDAY』と同時にリリースされたと言ってもいい2枚目のアル
バム『Overlap』だった。

 透明感のある独特のハイトーンボイス、特にサビの盛り上がり部分にゾク
ゾクした。そしてレンタルレコードで満足できずに一ヶ月の小遣いをレコー
ドに投じた。だから覚えている。いまどきの子供はダウンロードだろうから
大人になった時、はじめて買った音楽の思い出など無いだろう。

 その後、シングル「バカンスはいつも雨」がグリコチョコレートのCMに
採用され大ヒットした。

 うーん懐かしい。懐かしすぎる。
 募りすぎてさっそく「ダムなのか発電所なのかをバックに赤のフェラリー
という懐かしいジャケットのCDを手に入れ聞いてみた。

 センチメンタルな昭和ポップがそこにあった。(そういえば2年前、
佐野元春の初期4作品をすべてCDで買い揃えた。今でもアレンジを少し変
えれば充分通用する曲が多数ある)

 彼のHPを覗いてみると、最新作が1月に『魔法の領域』というニューア
ルバムがリリースされていた。「あの夏の少年」という曲がナイスだ。
ライブも旺盛にこなしているようで嬉しくなった。

ぜひ機会を見つけて出かけてみたい。

  2008年05月21日   岡崎 太郎