745-ベーシック メモランダム。

 仕事ができる人は総じてメモ魔だというのが僕の実感である。
 そこで仕事の基本であるメモについて少し考えてみたい。

 
意外なことに、新入社員研修のプログラムでメモについてきちんと教えて

いる会社は少ない。もちろん学校でも具体的なやり方を教えていない。

 それなのに自分のメモ力に不満を持っている人は少ない。

 学生時代、授業でメモを取っていたからだろうか、たしかにメモを取ろう
と思えば、たいていの人は、普通にメモを取ることはできるだろう。
 
 しかし最近もコンサルティングの現場でよく感じるのだが、とにかくメモ
を取ることができない人が多い。なにせ打ち合わせ中であれ、会議であれ、
手帳やノートを開いてさえいないのだ。

 よほど記憶力に自信があるのだろうか。

 スタンバイの状態になければ、メモは取れない。
 取ろうと思いノートを広げていては間に合わない。

 ノートを広げ、ペンのキャップを取りスタンバイすることからお願いしな
ければならない。聴くことに集中してメモを忘れていたなど恥ずかしい言い
訳はない。

 ある会社で20人が参加する経営会議に出た時のことだ。
会議終了後、参加者のノートを比較すると、それぞれメモをした量も違えば
メモした内容に大きな差があり驚いたことがある。会議終了後に正式な議事
録があればいいのだが、ない場合だと果たして情報共有が図れたのか疑問が
残る。

 ともかくメモしようと思えばメモくらいできるさと思っているのだろうが
そう思っているからこそ、まさか自分がメモ下手だなんて思ってもいない。

 自覚が無く、事の重大さに気づいてないので始末が悪い。

 メモ下手という現実を知ればこそ、学ぼうという意識が生まれるわけで
下手だと知らなければ勉強意欲も沸くはずもなく、これではメモ上手に成長
する機会もないというわけだ。

 ちなみにメモの技術ひとつとっても、文字の大きさを調整する。
文字の太さ調整できる。色ペンを使う。アンダーラインや囲み文字などを
活用するなど、なんとなく頭ではわかっていても実践できない人が多い。

 またイラストやチャートが描けるかもポイントだが、どうも絵が苦手な人
はイラストはおろか文字のメモも苦手のようだ。

 A4のノートにメモを取るのであれば、縦に二分割または三分割の直線を
引くだけで記録スペースが格段に増える。

 ほんの少しメモの技術について書いてみたが、それよりも重要なのが
「何をメモするか」である。

 話の中からキーワードをメモするだけでなく、そのキーワードから連想し
たことや、行動タスクやアイデアなどを書き留めれるかがポイントになる。

 つまりメモが会議の内容自体の記録であれば、議事録を配布すれば事足り
るわけだから、反対意見や、議論の甘い部分、また事実と異なる部分など、
気になるポイントをメモするのだ。メモしておけば後でスムーズに反論した
り調べることができる。

 次に、せっかくのメモを読み返し、有効に活用できているかである。
メモが書きっぱなしで放置されているのであれば、ぜひ反省の材料にしても
らいたい。

 これは読み返す際に、読みやすいか?重要なメモがひと目で判断つくかが
ポイントになる。なにせコンピューターと違って手書きのメモは検索性が弱
い。知り合いの中には、すべてのメモをPCにDBとして入力しているとい
うマメな人を知っているが、なかなか凡人には真似できない。

 せめて、メモを取る段階で読み返す時のことを意識して工夫して欲しい。

  2008年06月03日   岡崎 太郎