760-宮崎牛

毎月一度宮崎のクライアント先に出掛けていくのだが、楽しみは宮崎空港
のレストランで食べることのできるヒレステーキだ。


一流ホテルで食べれば軽く壱万円を超える肉が半額で食べれる。そんな
価格メリットと味に惹かれ2回に1回は食べている。

 ところが今回メニューを見て驚いた。
 価格が改定されているのだ。宮崎牛180グラム7800円。

 おい!毎回楽しみにしてたのに、そりゃないよ。昼間からこの料金では
二の足を踏むのは僕だけではないだろう。

 ところが、よくよくメニューを見るとお隣に国産牛180グラム4800
円とある。国産牛とは大枠すぎる。

 そこで店員さんに本日の国産牛はどの地区の肉なのかを尋ねてみた。
すると「宮崎の牛です」と答えた。

「えっ?」
 僕は一瞬意味がわからなくなった。

 じゃあ宮崎牛って何?

「宮崎牛」は7800円、国産牛4800円と表示されてるのに、国産牛の
正体が「宮崎の牛」と言うわけだ。

「宮崎牛」とはいわゆるブランド牛のことで肉質のランクが最高であるA5
の牛のみが冠として名乗ることができるらしい。

 それにしても紛らわしい。紛らわしすぎる。

 宮崎で生まれ宮崎で育ったのに、宮崎牛と言え
ないとは、まったく変な話である。そもそもブランドとして「宮崎牛」など
という安易なネーミングに問題がある。確かに全国のブランド牛には松坂・
飛騨牛・神戸牛・佐賀牛と地名プラスの場合が多いが、もう少しヒネリを加
えていれば、こんなわかりにくい問題は起きなかったろう。

 僕は迷わず国産牛と表示された宮崎牛を食べた。
 予想どおり、なんの問題もなく美味かった。

 ただし後味として7800円ではなく4800円という二番手を選択した
ことへの自分の不甲斐なさを感じた。

 この感覚を払拭できないものだろうか?
 私は、安い選択ではなく、「賢い選択」をしたのだと思える表現はないも
のなのだろうか?

 だいたいブランドとしての「宮崎牛」ではなくとも宮崎の牛を「国産牛」
という表示に終わらせておくのは勿体ない。なにせ固体番号の記録を表示す
る素性のはっきりした牛なのだ。

 たとえば「宮崎は○○岡崎牧場でノビノビ育った黒毛和牛」なんてどうだ
ろうか。国産牛よりは100倍いい。

 直売的なイメージを表現できれば、値段が高いだけのブランド牛なんかよ
り、牧場から直送された肉を選ぶ方が賢い選択だと感じるなら満足感を得る
ことだろう。写真や牧場で働く人達のコメントを紹介するのもいいだろう。

 なにせ宮崎空港の中にあるレストランだ。牧場オーナーをやっていても不
思議ではない。消費者が勝手に、いい方向への勘違いをしてくれる可能性も
ある。もちろん嘘は駄目だが、有益な情報を伝えないのは商売人としてセン
スがないと思うのだが。

 

  2008年08月28日   岡崎 太郎